コンビニの商品開発力に目をみはる
普段、あまりTVを観ない。
単純に見る時間が足りないのが、
主な理由である。
そんな私も、年末年始は普段に比べて
TVに接する時間が増える。
たまたま家族が観ていたところ、
面白くてそのまま一緒に観続けた番組
があった。
元日に放送されていた、
『ジョブチューン』
という番組の特番だ。
【セブン‐イレブン・ファミリーマート・
ローソン VS 超一流料理人】
というタイトルで、大手コンビニ三社の
自信作トップ7を、超一流の料理人に
試食してもらい、合格・不合格をジャッジ
してもらうという企画。
超一流料理人軍団に名を連ねるのが、
ミシュランの星を持っている方々を
多数含む、錚々たるメンバー。
この人たちが、本当にコンビニの
お弁当、お惣菜、スイーツなどに
「合格」を出すのだろうか?
どうしても「しょせんコンビニ」という
意識がどこかにあり、合格するメニュー
があったとしても極く僅かだろう、
そんな気持ちで眺めていた。
しかしながら、最初の方こそ不合格が
いくつか出たものの、次々と出て来る
自信作が上位に移るにつれ、合格を
連発、文字通り連戦連勝。
ふたを開けてみれば、
ファミマとローソンは6勝1敗、
セブンイレブンも5勝2敗と、
全社大きく勝ち越しという結果だった
のには正直驚いた。
大手コンビニは、どこもTBSのお客様で
あり、不合格を出しまくるのは
「政治」的に難しい、という事情が
あるはずで、その辺の「忖度」がどこ
まで働いたかは分からない。
ただ、もし「忖度」が多少は働いていた
としても、コンビニの商品開発力が
恐ろしく高いレベルにあるということは
視聴者に十分に伝わったのではないかと
感じている。
ジャッジの対象となる商品は、コンビニ
各社の従業員が自ら「自信あり」と
選んだものばかり。
各社とも上位に共通して入っていたのが、
・チキン
・ハンバーグ
・チョコを使ったスイーツ
・ラーメン(味は別々)
であった。
日本人の舌を喜ばせるには、何で勝負
するのが良いか。
あまりにニッチな商品に力を入れても、
ブレイクする可能性は低い。
一般大衆に受けの良いカテゴリを戦場
として選びつつ、その中でいかに自社
商品のユニークな特長を打ち出せるか
に心血を注いでいる様子が、ありありと
伝わってくるようだった。
個人的に印象に残ったのは、
ローソンの「からあげくん」と、
セブンの「札幌すみれ監修味噌ラーメン」。
「からあげくん」は、ロングセラーかつ
ベストセラー、ローソンの看板商品だ。
なんと、日本で使われている鶏むね肉の
5%相当を使っているというから驚きで
ある。
脂身がほとんどなく、たんぱく質が豊富
で、しかもお値段がもも肉などと比べて
格段に安い。
ということで、最近自分でもスーパーで
鶏むね肉を買ってきて調理することが
多い。
調理法を間違うと、パサパサしてあまり
美味しく食べられないのだが、揚げて
しまうとその欠点はかなり隠れる。
売る側からすれば、コストを格段に抑え
ながら、しつこすぎない点をメリットと
して訴求できる商品なのだ。
多くの消費者に受け入れられているとは
いえ、しょせんは鶏のから揚げである。
本当に合格が出るのだろうかと訝しく
観ていたが、様々なうんちくを述べるの
を聞いた上で実際にプロが試食。
見事に合格を勝ち取った。
セブンイレブンが、「札幌すみれ」という
味噌ラーメンの名店に監修をお願いして
世に問うた「濃厚味噌ラーメン」は、
他の二社がラーメンで「不合格」を
連発された後に、麺類として初めての
「合格」を勝ち取った。
見事というほかない。
すみれと言えば、新横浜ラーメン博物館
ができた際に招聘された8店舗のうちの
ひとつである。
その名店の味に可能な限り近づけた、
商品開発の実力には、目をみはらざるを
得ない。
近々に実地検分をするつもりだ。
ジャッジとして出演されていた
超一流の料理人の皆さんにとって、
ここで「合格」を出すことは、
少なからずリスク要因である。
それでもあえて、自分の舌にかけて
「合格」「不合格」のジャッジを行い、
その理由を明確に言語化して視聴者の
皆さんに供していた点は、大変に立派
でだと感じる次第。
先に述べた「忖度」を差し引いたと
しても、コンビニの商品開発力の
ハイレベルさに、大いに感銘を受けた
のだった。
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。