シンプルな指標を追いかける
このなかなかオシャレなメーターパネルは、
友人の「MINI」のもの。
ミッキーマウスを簡易に表現する際に、
大きな円で顔を、小さな円二つで耳を
作りますが、まさにそれにソックリ。
かわいらしいですよね。
メーターパネルには、車の運転をする上で
参考となる情報がギュッと詰まっています。
このMINIの場合は特にシンプルで、
スピードメーターと、ガソリンの残量
メーターくらいしかありません。
より一般的な車だと、走行距離や、
AT車のシフトレバー表示、水温計、
ヘッドランプの上向き表示など、
情報がもう少し増えます。
これが飛行機のコックピットとなると、
自動車に比べ断然複雑さを増すのは
容易にイメージできますよね。
ところで、会社の経営においては
目標を立ててそれを追いかけている
のが普通です。
その目標、言い換えれば「KGI」や
「KPI」といったものを設定したら、
週単位とか月単位、そして年単位で
それらを見直しますよね。
場合によっては、週単位どころか、
毎日、あるいは時間単位で細かく
「KPI」を追いかけています!
なんていう猛者もいらっしゃるかも
しれません。
それらの目標がシンプルであれば、
計器類も写真のMINIのそれのように
シンプルで済みますよね。
しかし、目標があれこれと増えて
複雑さを増していき、正に飛行機の
コックピットのような計器類で以て
チェックしましょう、なんてことに
なったとしたら、どうでしょう?
考えただけで頭が痛くなって
きませんか?
カルビーの会長兼CEOを長らく
お務めになった松本晃さんの、
就任当初のエピソードを思い出します。
当時、カルビーは「コックピット経営」を
標榜し、とにかくありとあらゆる情報を
経営陣に上げ、それを基に様々な経営上の
判断を行おうというカルチャーだった
そうです。
しかし、その情報を上げるために、
物凄い労力、お金、時間がかかっていて、
しかも上がって来た時には情報の鮮度が
落ちているという状況。
松本さんは、物事をシンプルに考え、
本質を突くことに長けた経営者で
いらっしゃいました。
すぐにこの「コックピット経営」の罠に
気付き、もっとシンプルな指標のみを
追いかければいいんだということで
改革を断行、カルビーの業績をあれよ
あれよと急回復させたのです。
その時に松本さんが見ていたのは、
工場の稼働率と価格。
稼働率をとにかく上げて、価格を下げる。
それが、デフレの続いていた時代環境
にもマッチして、V字回復を支える
戦略として機能しました。
コックピットが必要なほど、
沢山のKPIをつくったところで、
使われなければ宝の持ち腐れです。
真に必要なKPIが何か、洞察を巡らし、
シンプルな指標のみを追いかける。
そんな思い切りの良さが大切だと
言えるでしょう。