ブランドの若返りに成功したフェイラー
「シュニール織」と聞いて、
ピンと来る人はどれ位いるだろうか?
ドイツからやってきたブランド、
ミニハンカチで有名な「フェイラー」が
用いている独自の技術の名前である。
「シュニール」とは、フランス語で
「(蚕などの)いも虫」という意味。
そのプクプクとした質感が、
シュニール織の特徴として使われる
モールヤーンの感触に似ていることから、
そう呼ばれるようになったとの説明が
ウェブサイトにある。
最近、フェイラーが「ペコちゃん」柄の
ハンカチを出しているのを見て、
従来のイメージとあまりにもかけ離れた
様子に驚いたところ。
コロナ禍以降、街中で買い物することが
減ったこともあってか、フェイラーが
とても素敵なギフトコンセプトのショップを
展開をしているのを初めて間近に見て、
更に驚いたのである。
フェイラーのブランド自体は、
自分の母が愛用していたこともあり、
昔から知っていた。
手触りが柔らかく、とても上品な柄の
厚手のハンカチ、いやミニタオルと
言った方がより適切な感じのする商品だ。
しかし、色柄のレパートリーに乏しく、
持っている人も中高年というイメージが
徐々に根強くなってきていた。
そんな昔からのイメージを覆す躍進に、
違和感を感じた人も当然いるのでは
ないか、そう思ってググってみたら、
もう2年近く前になるがとても詳しい
記事を発見。
写真提供が「フェイラージャパン」に
なっているほか、当時の社長やPR担当
へのインタビューも含まれているので、
いわゆる「提灯記事」の可能性もある。
しかしながら、私が感じたことがほぼ
そのまま見事に表現されていたので、
興味を感じた方は是非ご一読をお勧め
したい。
この約2年前の時点で、インスタグラムの
フォロワーが8万人とあるが、現時点では
17万人超、2倍以上に伸びている。
確かにこれなら「映え」ること請け合い。
若い女性に「かわいい!」とウケること
間違いなし。
従来イメージを覆すために、アパレルが
よく採る手法の「サブブランド構築」を
行ったフェイラー。
「LOVERARY(ラブラリー)」とは、
LOVE と LIBRARY を組み合わせた造語。
図書館でお気に入りの一冊を探し出すように、
大切な人へのギフトを楽しみながら選んで
欲しい、そんなコンセプト。
従来からの愛用者である50代、60代から、
30代や40代などより若い層に人気を広げて
行くには、「ギフト」として打ち出すのが
良いだろうとの判断は、極めて理に適った
ものであった。
インスタグラムとの相性も抜群だった。
そして、投稿してくださるファンとの
マメなコミュニケーションを心がけ、
徐々に存在感を増していったのである。
当時の社長がインタビューに答えて、現状は
「アーリーアダプターに浸透できた段階」
であって、次の課題として
「アーリーマジョリティにどう広げていくか、
というステージにブランドとして立っている」
との認識を示していた。
外から見る限り、アーリーマジョリティを
着実に取り込んでいるかのように見える。
ブランドの若返りを図って成功した事例と
して、大変参考になると思う次第だ。