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「Cuscuz da Irina」&「Cabruca Restaurante」 さんぱうろぐるめをっちゃー 宮本碧 月刊ピンドラーマ2023年3月号

Cuscuz da Irina

住所:Rua Ipero, 47 - Vila Madalena
Instagram:
@cuscuzdairina

ブラジルのノルデスチ(ブラジル北東部)料理としてまず思い浮かぶのは魚やエビなどをココナッツミルクやデンデオイルで煮込んだモケッカかもしれない。モケッカは海岸部で一般的な料理であるが、Sertão と呼ばれる内陸部の半乾燥地帯では別の独特の食文化が発達した。このような地域では生鮮食品が手に入りづらい、厳しい環境の中で肉体労働に携わる人がお腹を満たせる料理が求められるなどの条件がある。そのため、朝食時にも干し肉(Carne Seca)、クスクス、茹でたサツマイモなどが食べられる。

ナタル市出身のイリーナさんが開けた Cuscuz da Irina のメイン料理はもちろんクスクスである。クスクスと言ってもモロッコなどで食べられる粒状のパスタではなく、トウモロコシ粉をフレーク状にして蒸したもの。プロテインは干し肉のクリーム煮、鶏の煮込み、魚フライなどから選ぶことができる。それに Fejijão de Corda と呼ばれる豆のサラダ、 Queijo Coalho と呼ばれる熱しても溶けないチーズ、パクチーが付いている。

この日頼んだカジュー(カシューナッツのフルーツの部分)のシャーベットと紫玉ねぎのピクルスが添えられた生ガキ。シャーベットの微妙な甘さとピクルスの酸味で生ガキが完成された一品になっている。

大衆的な料理であるトウモロコシフレークで作るクスクス・パウリスタもこのレストランでは繊細な一皿に仕上げられている。ココナッツミルク、デンデーオイルそれに、イカの出汁で味付けられたクスクスの上には細かくカットされた白いププーニャ(パーミットの一種)の粒粒が載っている。

この日はウェイトレスさんお勧めの干し肉のクリーム煮のクスクスを頼んだ。主食となるクスクスは薄味で癖がなく、食べやすい。干し肉のクリーム煮はこってりしているが、豆のサラダとパクチーが口の中を清涼感で満たしてくれる。

干し肉のクリーム煮のクスクス

デザートにはクラッカーのリゾットを頼んだ。クラッカーのリゾット???出てきたのはコイン状のクラッカーを焼いて牛乳に浸し、上にDoce de Leiteを載せた物。これも生鮮食品が手に入りづらい環境で考え出された賜物?

クラッカーのリゾット

Manteiga de garrafa(瓶に入った溶かしバターの上澄み)がかかった茹でキャッサバにゆで卵、豆のサラダ、焼いた Qeuijo Coalho などを添えた朝食もあるそうなので、次回はそれにトライしたい。


SAZ Restaurante

住所:Rua Dr. Renato Paes de Barros, 469 - Itaim Bibi
Tel:(11) 98837-2783
Instagram:
@sazrestaurante

レストランの名前、SAZはシーゾナルから来たもので、季節の新鮮な材料を使った料理を出すことをコンセプトにしている。広くはないが、明るく居心地の良いレストラン。去年の11月にオープンしたレストランでメニューの品数はそれほど多くなく、料理を選ぶのに苦労しない。二人のシェフが作る料理はどれも繊細で手が込んでいる。

この日、頼んだかぼちゃの花にキノコクリームを詰めたアペリティフにはパッションフルーツと卵の黄身の粉を混ぜたファロッファ(キャッサバ粉で作った付け合わせ)が添えられている。

メインの魚に添えられた真っ白なチーズクリームにグリーンのイタリアンパセリのソースのコントラストが美しい。魚の火の通し方も完璧。数人いればすべてのメニューを頼んでシェアできる。


宮本碧
最初は留学生としてブラジルに来たが、ブラジルにはまり、現在ブラジル在住約30年。食べることが大好きで、どんなに落ち込んでいてもおいしいものを食べると幸せな気分になれる。翻訳業。

月刊ピンドラーマ2023年3月号
(写真をクリックすると全編PDFでご覧いただけます)

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