スパルタンレースinスパルタ🇬🇷SPARTANRACE TRIFECTA WORLD CHAMPIONSHIP 2024
ギリシャのスパルタで毎年11月に開催されているスパルタンレースに参加しました。
スパルタンレースは山岳や森などトレイル要素のあるコース内に設置された障害物を乗り越えながら走るレースで日本でも各地で毎年4回程度開催されていす。
このレースを知らなかった人にはサスケみたいなレースだねと言われます。
わたしはこのレースに日本で3年程度出場していて、マイペースではありますが3年連続でAGEカテゴリで表彰台には立てているので、そこそこ頑張っていたレーサーです。
今回、私は10km(今回は12km程度)内に、25種の障害物のあるSUPERというカテゴリ、OPENクラスへの挑戦です。
TRIFECTAの権利は持っているのですが日程の都合で1日のみの参加です。
レース前日、アテネからスパルタへ
アテネからバスで3時間半かけて8時半ごろスパルタに到着。
午後5時のバスで帰宅時間帯だったせいか渋滞で少し遅れたように思います。
飲料を購入したりトイレ休憩はできるタイミングはなかったので、バスターミナルで済ませるのがいいです。
アテネ国際空港からは、スパルタ行きのバスターミナルまでバスで1時間15分ほど。
ただ、時間帯によって道路が混雑している事もあるので少しでも小回りよく行こうと、私たちはタクシー(Uber)でバスターミナルに行きました。
40分位で約€50かと思います。
キャッシュしか使えなかったり、事前交渉で金額が決まるタクシーもいるので、クレカ払いが良く、相場がわからない場合はUberが良さそうです。
バスの時間は、こちらの勘違いや聞き違いかもしれませんが、情報が異なることがありました。
事前に見た情報が17時出発。
バスターミナルのチケット売り場で聞いた時間が17:15出発。
そのあとチケットを見てみると17:30出発とあり、あちこちで違ったので余裕を持ってくることが大事です。
素晴らしいバスの車窓の眺め
アテネからスパルタへ向かう時は暗かったので何も見えませんでしたが、
スパルタからアテネへ帰る時は始発の8時半のバスに乗ったためペロポネソス半島の雄大な景色を眺められました。
時折、遺跡も目に入りとても楽しかったです。
道路は空いていて約3時間の11時40分ごろアテネのバスターミナルに帰ってこれました。
スパルタの町へ
バス停から数分歩いてAirbnbの部屋へ向かい、荷物を置き、食事がてら辺りを偵察に行きます。
宿泊先はホテルもいくつかありますし、Airbnbも多いようです。
知人は一週間前のエントリーでも部屋が見つかったと言っていました。
レース開催期間で値上がりしていたとしても他のヨーロッパ圏に比べたら格安です。
街がコンパクトなのでどこに泊まってもレース会場へ簡単にアクセスできますが、可能ならセントラルスクエアやレオニダス像のあたりがレースには便利そうです。
わたしの部屋はセントラルスクエアから徒歩1分くらいの場所にありました。
部屋を出たのは9時過ぎで、夜も遅いし危険はないかや、スパルタは田舎町と聞いていたのでスーパーや飲食店がやっているかも不安でした。
実際のところ、夜でも明るく、怪しい人も見当たらず夜でも歩きやすい雰囲気でした。
スーパーは閉まっていましたが、レース開催中のせいか飲食店の多くは夜9時を過ぎても賑やかでした。
特に街の中心で、レースの総合会場であるセントラルスクエア周辺はレストランが多く賑やかで煌々とランプや炎が灯っていました。
レーサーやスタッフのような方も見かけたので、ここで新しいレーサーとの出会いがあるかもしれません。
私は少し疲れていたので、セントラルスクエアから少し離れた落ち着いた雰囲気のレストランへ。
スパルタでのグルメについては別の機会に投稿します。
レース当日
私の出走時間は10時30分。
Airbnbがセントラルスクエアの近くだったことから時間に余裕があり9時に部屋を出ました。
セントラルスクエア
スパルタの中央にあるセントラルスクエアで受付をします。
ここには受付やインフォメーション、ショップ、表彰台のステージがあります。
おそらくトライフェクタの3レース参加で初日に受付を済ませている人がほとんどかと思うので、2日目のレースのみの私は待ち時間ゼロでした。
スタートエリアへ
いつも日本で参加してたレースでは同施設内に受付エリアとスタートやゴールがあるのですが、スパルタでは受付したセントラルスクエアからスタートのあるレオニダス像付近まで街の中を何ブロックか歩きます。
そして街の道路を封鎖してオブスタ(障害物)があります。
スタートラインはレオニダス像が前に立つ野外運動場(Sparta Municipal Stadium)の側面にあります。
今回のスタートポイントは以下です。
レーススタート!
MCがステージ上からレーサーを盛り上げます。
隣同士で肩を組んでエールを送り合ったり、世界各国から集った同じ競技を愛する仲間たちの心が言葉を超えて一つになる瞬間です。
お決まりのカウントダウンコールが始まり、「GO!」の掛け声と共に走り出します。
コースは以下で、YAMAPの軌跡も確認してみてくださいね。
オリーブ畑からスパルタ遺跡の中を駆け抜けていきます。
途中にはオリーブの他、レモン、ザクロが実っていたり、遺跡の石垣や、遠くに聳える山脈を見渡して、日本とは全く違う景色を楽しめました。
街に入ると現地の人がバルコニーから手を振ってくれたり、子供たちがブラボー!と言いながらハイタッチを求めてきたり、交流も楽しめました。
オブスタを乗り越えた時、他のレーサーがGood job!と声を掛けてくれるのも嬉しかったです。
給水所では、水のほか、バナナやスナックを置いてある場所もありました。
バナナは即エネルギーになるのでとてもありがたかったです。
コースの総評
コースの起伏はあまりなく、日本で毎年開催されている千葉ドイツ村のコースよりは難易度は低いです。
2023の冬の滋賀のコースに似ていると思いました。
日本で、千葉、新潟とキツイコースを経験してからのギリシャは日本人レーサーにはアドバンテージがあると思います!
敢えて言うなら、岩が欠けて経年で丸くなった石が大きな粒の砂利のようにゴロゴロと地面に転がっていて、バランスを崩しやすいのが注意点です。
オブスタ(障害物)について
オブスタの難易度やサイズは日本と変わりません。
サイズが欧米に合わせて高かったり大きくなる、という話を聞いていたのですが、壁の高さやモンキーバー(うんてい)などのバーの間隔も変わりありませんでした。
ただ、日本でも千葉もワールドチャンピオンシップでは少々難易度があるように、モンキーバーも一箇所少し幅がありました、マルチリグはストレートバーが混じっていました。
その他、平たい帯の上を歩くスラックライン(Slackline)など日本では見かけない種目も3つほどあったと思います。
種目の選定は毎年多少異なると思うので毎年出てくるかは分かりません。
そのほか、7f Wallなど壁を越える種目では日本同様、女性用のステップがあるので背が低い人も安心です。
日本ではステップがついていないStairway to Sparta(壁を登った上に梯子があって反対側に降りる種目)にステップがついていたりします。
やはり日本レースより基本のサイズが大きいかもしれませんが、身長が低い人にも配慮されていると思いました。
パラレース開催
また、スパルタのレースでは身体に障害がある方が参加するパラレースもあります。
もちろん私たちと同じオブスタもこなします。
肘までしか腕がないなどハンデがあった状態でもぶら下がり系のオブスタを私よりも美しいフォームで迅速に切り抜けていく姿は神の領域です。
あの体幹の強さは真似できません。
腕があっても滑る人が多いのに、あの動きは相当スパルタンだし、障害がなくても辛いのに、ハンデがあってもこのレースに参加しようと思う精神もかなりのスパルタンです。
日本ではパラレースはないのでパラ選手の方々の走りが見られて感動しました。
練習不足でバーから滑り落ちて、テヘペロ、などとやっている場合じゃありませんでした。
以下はギリシャのトライフェクタのパラの優勝を2年続けて制したジョンさん。
まさかのツーショット!
さすがスパルタ開催はスパルタンレースの中でも最大のレース、なんとスパルタンレース創設者のJoe De Senaさんに会え、ツーショットを撮れました。
Joeさんの顔はメーリングリストでもおなじみで、トレーニングやメンタリティについてメッセージを時おり配信してくれています。
スパルタンレーサーなら知らない人はいない有名人です。
日本でお見かけしたことはわたしはありません!
スパルタのゴールが変えた私の心
レースのゴールはスパルタの街の中にあります。
レオニダスや女神に扮した人がゴールにいてメダルを首にかけてくれました。
MCがマイクでわたしの名前と、「Representing of Finland! (フィンランドを代表した選手です)」と住所の登録してある国で呼び、あたりに響きます。
住所を日本にしておけばよかったなと思いながらも、最近心に引っかかってたことがお陰でストンと腑に落ちた気もします。
ダンナと結婚してから、海外で地元の方に「どこからきたんだい?」と聞かれると、素直に「フィンランドから」と言ってもいいのに、まだ自分がフィンランドで「お客さん」に近く浮いた存在のような気がして、「彼はフィンランドだけど、私は日本から」とめんどくさい言い方をしていました。
明らかに自分はアジア人なのでフィンランドと言うのもどうかな、と思ったのもあります。
自分は日本が好きなので、遠いところに来るほど、「ここにも日本人参上!」と厨二男子のように足跡を残したいのもあるかもしれません。
しかしなぜか、このゴールの後から、レストランなどで「どこからきたんだい?」と聞かれても、すんなり「フィンランドから」と答えるようになりました。
ゴールで「フィンランドの代表者」と言われて、それでもいいんだ、と自覚したのかもしれません。
シンプルでめんどくさくなくて気持ちも楽になりました。
会話が弾んだときに、出身は日本だけどね、と言うくらいで。
スパルタの町で
スパルタンレースは、小さな内陸の田舎町であるスパルタの町を挙げて歓迎されているお祭りで、飲食店も雑貨屋さんもレーサーにとても親切です。
今日のレースどうだったかい?などと気さくに声をかけてくれます。
スパルタ遺跡はアテネに比べると、整備があまりされておらず、本当に廃墟感があって自然でいいんですが、アテネから3時間以上車に揺られ観光で来るには物足りない方もいそうです。
でも、商魂逞しいアテネの観光町で警戒するよりも人が皆朗らかで、私は好きな町です。
ただ、トライフェクタで3日レース、前後を入れて5日滞在すると考えると、日照も短く4〜5時には暗くなってしまうこの時期のスパルタは、屋内で体を休めたり食事を楽しんだりする以外、できる事も少なく、自分で時間を活用できる方法を用意して来るのがよさそうです。
お土産屋さんで見た主人の本音
スパルタの街にはお土産屋さんがいくつかあり、スパルタ王であるレオニダスを模したお土産が多く売られ、中でもスパルタンレーサーには、スパルタの戦士のヘルメットがデザインされたスパルタンレースのロゴを、パクった(?)オマージュした(?)シャツやキーホルダーなどのグッズが人気のようで、これらもよく売られていました。
レースの後、とあるお土産屋さんに入ると、店頭にはそうしたレオニダスや疑似スパルタンレースグッズが並ぶのですが、奥にはアート作品も多く売られていました。
歴史的なモチーフではなくモダンなテイストでガラスや天然素材が使われているようです。
石でできているものが多く、重いので持って帰れないけどキレイだね、と旦那に話していると、
「She knows art.(彼女はアートが分かっているよ)」
と店の奥から声がかかります。
わたしたちが入ってきても、会釈もせず本を読んでいたご主人が、本を閉じ立ち上がり、近寄ってきます。
「これがスパルタのデザインなんだ。ここ数日で、これらを見てたのは君たちだけだよ。この石はここでしか採れない。ここでしかこの模様は出せない。」
そして、古代の絵をプリントしたグッズを差しながら。
「これが、ギリシャのデザインなんだ。」
と言ってその中から一つのキーホルダーを手に取り、
「これはギリシャのアートを解ってくれる君へのプレゼントだ。」
と私に手渡してくれました。
オリジナルはギリシャの古代画ですが店主がブリントして手作りしたものとのことです。
レース期間中は訪問客も多いでしょうし、映画やレースに関連する人気のデザインの売り上げも多いでしょうから、悪いことではないのですが、それでもスパルタやギリシャの他の側面も見てほしいのではないでしょうか。
もしあなたがスパルタに行く機会があれば、そうしたところにも少し目を向けてほしいと思います。
現地でしか触れられないものを体験できるし、現地の人も嬉しいはずです。
もらったキーホルダーはギリシャと自分が心で通い会えたような、とても大事な宝物です。
おわりに
日本にいた時からスパルタンレースを走っていた私には、世界のレーサーが集うスパルタでのレース出場は夢の一つでした。
今回はトライフェクタを走らなかったので、来年か、どこかで一度は体験してみたいな。
本をたくさん持っていって、涼しいオリーブの木の下で読もうかしら。
★スパルタの地元の食事がとても美味しかったので、別でまとめて投稿したいです。ぜひ楽しみにしてください!