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Switch←♡→Witch Enter.1 破られた殼
ここがどこなのか、もうわからない。とても見知ったはずの場所なのに、空気も音も全てが違う。
上がりきった心拍と呼吸が視界を歪めるせいで何度転んだだろうか……ストッキングが破けても傷を重ねたせいで、裂傷から出た血液は赤黒く固まって範囲を伸ばしていく。
目を開けると鬨鳴は廊下の中央に立っていた。先ほどまでいた教室ではないものの、覚えのある景色に安堵したのも束の間。
ぐにゃりと窓や扉が歪みだし、ど
Switch←♡→Witch Enter1-3, sideジジ
だるいのもめんどうなのも飽き飽き。
力があったって思いっきり使えなくちゃ楽しくないもの!
だから私は『助けてもらう準備をした』の。
それもとびきり楽しくなるようにね♡
「もう少し考えて遊んでくれる?手札が足りないなら、言ってくれれば合わせてあげたのにぃ」
ガヤガヤと賑わう商店街を外れた場所にあるのは、大きなビルの影が落ちた小さな廃工場。
使われなくなった工事には錆びたネジや古くて動かなく
Switch←♡→Witch Enter1-2, sideワルツ
「助けてほしい」
この日はやけにこの言葉が耳についたけれど、何を頼まれても渡す答えは
「できない」
しか持っていなかった。あの瞬間まではーーー
早朝5時。破坩 鬨鳴(わるつぼ ときめ)は、ガチャガチャとベルを鳴らし左右に揺れる目覚まし時計に起こされる。止めようとして伸ばす手は、いつも通り空を切るだけで時計は掴めない。
「んん……ゆかぁ……?」
けたたましく呼び続ける時計を止めようと、
Switch←♡→Witch Enter1, -破れない殻-
天国、地獄、人間界。それら総てに光と闇が入り混じっている。それは
天ノ世(アマノヨ)、地の匣(ジノゴウ)、凡楽園(ボンラクエン)でも同じこと。
禁忌を破り凡楽園に身を潜める【尊愛 染慈(ミコトメ センジ)】。
自分が何者なのか、人間ではないという確かな違和感に悩みながら過ごす【破坩 鬨鳴(ワルツボ トキメ)】。
男子生徒が心に抱えるものを引き金に、彼女たちの運命が美しく愛(かな)しく踊りはじめる。