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【活動報告】PILCON for educators!第三回AMAZEを使った授業をつくろう~性暴力・ハラスメント編~

こんにちは!NPO法人ピルコンです!
ピルコンでは11月20日(金)19:00~21:00に「PILCON for educators!第3回性教育動画AMAZEを使った授業をつくろう!〜性暴力・ハラスメント編〜」を開催しました。

PILCON for Educators! 性暴力セクハラ (1)

今回も第1回、第2回と同様に学校職員、教員を目指す学生向けに「性暴力・ハラスメント」をテーマに講座とディスカッションを通して教育現場における性教育実践のスキルアップのサポートをする事で子供たちが安心して暮らせる社会作りに貢献する事を目的に行いました。

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〜性暴力・ハラスメントに関する学校教育、法律の現状と課題〜

《現状》

①性暴力ってなに?

性暴力ってなに

性暴力:性と生殖に関する健康と権利を侵害すること。性的に誰かを傷つけ脅したり、嫌がらせする行為。

「性的同意」を取らない状態で起きた性的言動は性暴力にあたります。


②性暴力に関わる法律

「性行為はいつからして良いのか」は明確には決まっていませんが、性暴力から子どもを守るための社会的なルールがいくつか存在します。

・刑法 第176条(準)強制わいせつ
・刑法 第177条(準)強制性交等
・刑法 第179条 監護者わいせつ及び監護者性交等

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また、被害者が心理的・物理的に抵抗できない状態であった場合、「準わいせつ罪」や「準強制性交等罪」が成立するケースがあります。「準」という名前ではありますが、決して罪が軽いわけではありません。

③性的同意年齢:性行為を同意する能力があると認められる年齢。

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世界的には15~16歳と定められている一方で、日本の性的同意年齢は13歳とされています。そのため、12歳以下の人に性的な行為をした者は同意の有無を問わず罰せられます。

多くの場合、小学校を卒業したばかりと思われる【13歳】。性的自己決定ができる年齢としては、相応しいのでしょうか。参加者からも疑問の声が挙がりました。

《課題》

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2017年6月、性犯罪に関する刑法が110年ぶりに改訂されました。しかしながら、課題はまだまだ存在しています。

【公訴時効の廃止または停止】

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【暴行脅迫要件の撤廃】

強制性交等罪が成立するには、「暴行脅迫要件」が認められることが必要です。そのため、被害者が抵抗した事が認められない場合、不同意の性行為は罪に問えません。これによって、処罰されていない性犯罪が存在しています。

【パートナー間の強制性交等罪の明文化】

配偶者間の性暴力は認識されにくいために、ほとんど起訴されていません。

【性的同意年齢の引き上げ】

被害者が13歳以上の場合は、抵抗したことが認められなければ、強姦や強制わいせつになりません。被害者が未成年であっても同様です。

【立場や権力を利用した性的行為の処罰規定の対象の拡大】

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上記のように、性暴力に関する法律は存在するものの、「被害者が声をあげづらい」「起訴の基準が曖昧」、何より「性的同意年齢が適正なのか」疑問視する意見が多くあります。

〜性暴力やハラスメントに対する動き〜

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令和2年6月、政府は「性犯罪・性暴力対策強化の方針」を決定し、

・令和 2 年度~4年度までの3年間を、性犯罪・性暴力対策 の「集中強化期間」とする。
・刑事法の在り方の検討に加え、被害者支援の充実、 加害者対策、教育・啓発の強化に取り組む。

以上の2点を示しました。その一環として生命の安全教育が推進されようとしています。

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その他、教員のわいせつ行為に関しては、「加害者に対する厳正な処分」や「教育免許状の管理等のあり方ついての見直し」が検討されるようです。これに対して、今年9月に市民団体は加害教員の免許再取得を拒否する署名運動を行い、約5万4000筆の署名とともに文科省へ陳述書が提出されました。

もし生徒から性被害についての相談を受けたら?

もし生徒から性被害に関する相談を受けた際の流れやポイントとして、ピルコンの性暴力にもまとめている内容・各種相談窓口の紹介や、性暴力被害者のためのバーチャル・ワンストップ支援センターがウェブ上で無料公開している「学校で性暴力被害がおこったら」という危機対応手引きを共有しました。

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性暴力被害者のためのバーチャル・ワンストップ支援センターウェブサイトより

性暴力を授業で伝えるには?

アメリカの性教育NGOが製作し、ピルコンが日本語訳を行った性教育動画「AMAZE」には、性暴力や性情報とのかかわり方、健康的な人間関係を伝える多くの動画教材があります。授業で性暴力を動画を活用してどのような展開が可能か、参加者同士でのディスカッションを行いました。

生徒に身近な事例について無記名のアンケートを実施したり、また、授業のはじめに気分が悪くなってしまった生徒がいたら、無理せず別室で休んでもらう対応をするなど、予め伝えておくといった配慮も必要という声もありました。

まとめ

性暴力やハラスメントは「相手に同意を取らずに行う行為」を指します。

「このくらいなら良いや」「楽しいから良いや」といった気の緩みで無意識に相手を傷つけてしまう事があるので注意が必要です。

逆にいえば、相手から同意を得るための、

「これやっても良いかな?」
「こうしたいんだけど…」

というような、何気ない一言が円滑な人間関係や信頼関係に繋がるのだと改めて学べる機会でした!!


ぜひ次回もお楽しみに!!


次回予告

PILCON for Educators!第四回開催決定!!

1月22日(金)19:00~20:30

国際セクシュアリティ教育ガイダンスを踏まえて、改めて性教育の学び方・伝え方を考える機会にしたいと思っております!また皆さんとお会いできるのを楽しみにしています~!


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この記事を書いた人:フェロー・ぜろ
都内にある美容専門学校2年生。
2019年よりNPO法人ピルコンのフェローとして活動を初め、学生団体DAISYにも2020年11月までイベント企画から副代表を務め脱退後はWebサイト「しあラボ」のプロデューサーに就任し2021年4月始動に向け活動中。
現在では性教育の外野へ向けたアクセス確保を目的に様々な切り口を模索しつつ生き辛さを感じる若者の救済に尽力している。
 

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