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「できる、できない」の基準について

今回は心理学の視点から、「できる/できない」をどう判断すればよいのかについて考えてみたいと思います。

発達の最近接領域

心理学におけるモーツァルトと呼ばれるヴィゴツキー
彼は子供の発達を「完成した部分」ではなく、「成熟段階(過程)」を見るべきだと唱えました。

ヴィゴツキー以前の心理学者は子供の能力を判断する際に「3+5=8」と大人(教師)が手助けなく答えられた部分に焦点を当てていましたが、大人(教師)が手助けすることでなんとか「6ー2=4」と答えられるのであれば、その部分を見るべきだと彼は主張したのです。

成熟しつつある段階=発達の最近接領域

この考え方は学校の先生や教育者なら、絶対に理解しておかなければならないと言えるほど重要です。

知能検査に限らず、あらゆるテストは子供が独り、自分自身の力でおこないます。(残念ながら)過去も現在もそういった態度で、僕たちは「できる/できない」の判断をしています。それに対して、ヴィゴツキーは、大人(教師)が手伝うことによってできる領域を大切だと言っている訳です。

子供の逆上がりで考えるなら

A:元々、独りでできる領域
B:手伝われることによって出来る領域

児童心理学・教育心理学からのこの知見は、当然、何かを教授する仕事をする立場にいる人にとって、誰でも役立つものとなります。

学校教育から続く、僕たちの「○○ができる(できない)」の捉え方は、後ろ向きで、過去を向いているものになります。ほとんどの大人は、子供が独力で逆上がりができるようになって、ようやく「逆上がりができるようになってね」と褒めるのです。明日(未来)の発達、最近接領域に注目するなら、お母さんがお尻をヒョイと押してあげて逆上がりができるようなったその段階に、より大きな注目をするべきでしょう。

補助があれば発達できる最近接領域に注目することが重要なのです。

ヨガやピラティスのインストラクターなら

キミがヨガやピラティスのインストラクターなら、ヴィゴツキーの提唱した最近接領域の考え方が自分の仕事にも応用できることがわかりますよね。

多くの生徒は、最近接領域には注目していません。補助があったことでできたことに喜びを見出せていません。そして、残念ながら更にひどいことにインストラクター、先生もそういった態度の人が少なからずいます。

目の前の生徒に対してどういう声かけをすれば、この発達の最も重要な部分、伸びしろに目を向けるでしょうか。どういったレッスンの組み立てをすれば、自然と最近接領域に焦点を当てたものになり得るでしょうか。

厳しいだけでも駄目ですね。
そして、優しいだけでも駄目ですね。

生徒の最近接領域を適切に見つけ、レッスンを組み立てていく。人の成長に対して、人の可能性に対して、どういう眼差しをキミが向けているのかが問われているのです。キミがキミ自身に対して、否定的にならず、厳しく後ろ向きなジャッジをすることなく、キミ自身の最近接領域を見つけ、キミがキミの教師になることからこの学びを活かすことができるでしょう。


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