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『ルバイヤート』を読んだ
2022/8/21、読了。
世界史で名前だけは聞いたことのある、オマル=ハイヤームの『ルバイヤート』。「ルバイヤート」という語は、ペルシア語で「4行詩」(複数形)を指す一般名詞らしい。つまり、必ずしもオマル=ハイヤームの詩集名を指すものではないということだ。
何故いきなりこの4行詩集の存在を思い出したかといえば、オモコロライターの岡田悠さんがこの詩集に登場する「酒」の登場頻度でグラフをとっていたからである。
読んでみるとなるほど、確かにやたらと飲酒を勧めてくる。ムスリムのオマル=ハイヤームにとって酒は禁忌であるはずだが、それだけにより一層酒というものに甘美さを見出していたのかもしれない。
数学者・天文学者としても大変に地位の高かったハイヤームだが、詩の中身はなかなかアウトローである。神の存在が絶対的なイスラム教社会において、こうした無神論的な思想はさぞ反感を招いたことだろう。解説では、彼の思想を日本の「諸行無常」に引き較べている。古代の王も土に還れば後世に土器となると謳っているところをみれば、それも頷ける。しかし、あくまでも現世の喜びに拘ることに、ハイヤームの思想の特異性がみられるという。そうした現世の喜びの象徴こそ「酒」なのであった。
でもイスラム圏に存在する酒って想像がつかないね。大学の教授がマフアーという花からつくったお酒を飲んだことがあると話していたがそういうやつなのかな。ちなみにスポドリの味がしたらしい。そんな訳ねーだろ。
解説はとても詳しく信頼が置ける。オマル=ハイヤームの歴史上の位置や詩の文言の解釈、ペルシア詩の韻に至るまで幅広くカバーされていて、一挙に把握するのは難しいが非常に興味深い。
いつまで一生をうぬぼれておれよう、
有る無しの議論になどふけっておれよう?
酒をのめ、こう悲しみの多い人生は
眠るか酔うかしてすごしたがよかろう!
大昔の偉人がこういうことを率先して言っておいてくれると、後世の我々も心置き無く美味しいお酒を呑めるってもんですね。