
清水寺の夜間拝観・成就院特別公開へ
京都の紅葉シーズンといえば、私のような阪急京都線通いをしていた者にとっては乗客が多くて道中座れなくなるとんでもない季節だという印象である。まともに紅葉を楽しむことも、そういえば京都を巡ることもないまま学生生活が終わってしまったのは、心残りの一つである。
今回は成就院が目的地。
今回の清水寺への参拝は、夜間拝観・ライトアップではなく、成就院(月の庭)の特別公開と、そこで「水琴窟」の音を聴くというのが主な目的であった。
茶碗坂を通る
11月21日木曜日。池田を出発したのが18:30で、阪急で行く時間はなかったので車で京都へ向かう。今回の目的は成就院の特別公開(20:30まで。)である。
清水寺の前のお土産物屋が立ち並ぶ産寧坂のわき道の坂(茶碗坂)のたもとにある駐車場に車を停め、急いで坂を上がる。

急勾配を上がると、夜間拝観の看板が出ている。

階段を上がると、仁王門にたどり着く。

よく見るとこの狛犬、二匹とも阿形である。だいたい狛犬というのは阿吽のはずであるが…。気になったので調べてみた。
お釈迦様の教えを大声で知らしめる意味…。物事の始まりを意味する「阿」、終わりを意味する「呍」。こちらの方がありがたい気もするが、立ち止まらずに進んでいく。

西門は「日想観」の聖所

次に見えてくるのはこちらの西門。「日想観」という、夕日が沈む様子を眺めながら極楽浄土を思うという修行法の聖所だそうだ。
西門の向かいには鐘楼。

先を急ぎすぎて細部まで見ることが出来なかったが、この彫刻も桃山建築様式を凝らしたものだそうだ。昼間に見るよりも、おそらくライトアップされている方が、よりその様式が浮き彫りにされるのだろうと思う。
そして三重塔。

暗い夜空に朱が映える。夜景よりも建物と夜の闇のコントラストを見に来ているのだと思った。
紅葉がライトアップされている。

京都の夜景と紅葉が織りなす秋の風景。少し肌寒い中に、秋の終わりと冬の訪れを感じる。

成就院へ

角を曲がると一気に観光客が減り、物静かな雰囲気となる。門をくぐり、さらに階段を下りていく。

この景色も夜ならでは。一段一段降りていく。

池が鏡のように紅葉を映す。

これは夜間拝観ならではの美しさである。池が闇夜を映し、紅葉を映す。きっと、この心の動きが侘び寂びというものなのであろう。
これより先は撮影禁止。

そして、聴くことが出来た「水琴窟」
これより先、成就院、そして「月の庭」は撮影が禁止となっている。ここにあるのが今回の目的である「水琴窟」である。甕(かめ)の中に水滴が垂れて当たる音を聴く、というものなのだが、一般公開はされていない。そのため、「実は…聴きたいんです」とお願いして聴かせていただいた。そして、資料として少し録音もさせていただいた。
こちらで、音を少しご紹介している。右の竹筒と左の竹筒で聴こえてくる音が違ったのだが、私が気に入ったのは右の竹筒から聴こえる音。この動画では右側の音を採用した。
なんと言えばいいのだろう、心が震えるのがわかった。例にとってイメージがしやすいのは鹿威し(ししおどし)や風鈴などだと思うが、サウンドとノイズの境界線を楽しむのがやはり日本古来の感覚なのかもしれない。この水琴窟の音は、自分の気づかない場所に語りかけてくる気がした。
夜間拝観、そして成就院の特別公開、おすすめです。

青い光は観音さまの慈悲を表現しているそうで、秋の澄んだ夜空、空気の中で、五感に語りかけてくるようなイベントとなっている。
今年は30日まで。ぜひ。
20241126