文学好きのための”ブックガイド”ガイド
出会いすぎるほど出会える
自分がうっとりするような本との出会いってすごく難しくないですか?
書店の打ち出しを見ればどれも魅力的に見えるし、かと言って自分に合うかと言われたら読んでみて、「うーん」という感じの本もしばしば。
ベストセラーとか話題の本ももちろん大好きなんですけど、自分の考え方の「基盤」や「背骨」になるような衝撃を与えてくれる本と出会うのって本当に難しいですよね。
私は常に本に飢えている人間なので、「書評」や「読書エッセイ」というジャンルの本をよく読みます。
特に好きな作家さんの書評やエッセイだと、「こんな風に影響を受けていたんだ」など作品にたいする理解が深まる瞬間があり、文章を読む喜びを感じます。
そして、自分が知らないけれど自分が好きになるであろう本を溢れるほど紹介してくれているんです。
Amazonレビューでサーフィンしたり、読書記録系のサイトを閲覧して探すのも楽しいですが、読書好きさんには書評や読書エッセイをぜひたくさん読んでほしいです。
書評マニアと言っても良いぐらい書評好きの私が読んだなかで、読み物としても面白く、たくさんの「背骨」になるような衝撃を与えてくれて、読み切れないぐらいの量と濃さの本を紹介してくれている書評・エッセイを、まとめ画像とともに3冊紹介いたします。
①桜庭一樹の読書日記シリーズ
1冊目は桜庭一樹の読書日記シリーズです。
このシリーズは今の段階では5冊出版されていて、正直永遠に続いてほしかったシリーズです。
書評ではなくエッセイ寄りです。
桜庭一樹さんの担当者さんや編集の方など周囲の人とかわす本についての会話がとにかくテンポよく楽しい。
日記の冒頭は必ず紹介する本の引用から始まるので、すぐに文章の世界に引き込まれます。
ゴシック的な作品の紹介がとても魅力的です。
▶実際に読んでみたおすすめ3選
・聖少女/倉橋由美子
・月と六ペンス/サマセット・モーム
・聖母の贈り物/ウィリアム・トレヴァー
②偏愛蔵書室/諏訪哲史
孤高の文体マニアだと思いました。
著者の諏訪さん。
この偏りかた、紹介されている作品の癖の強さ、諏訪さんの愛する本を紹介するその文章からただならぬ気配やこだわりを感じる1冊です。
こちらは書評に分類される作品です。
▶実際に読んでみたおすすめ3選
・シュルツ全小説より『肉桂色の店』/ブルーノ・シュルツ
・泥棒日記/ジャン・ジュネ
・眠れる美女/川端康成
③八本脚の蝶/二階堂奥歯
とてつもない本です。
二階堂奥歯という人間のすべてをかけて読み解いたたくさんの本。
長らく復刊されていなかったのですが、最初にハードカバーが復刊され、のちに文庫も出版されました。
私は両方購入してもう何度も何度も読み込んでいます。
本を読む喜びと、恐ろしさ、副作用のようなものを感じてしまう恐ろしい書物です。
メンタル的に不安定な時に読むことはおすすめしません。
ただ、本に憑りつかれた経験がある人は、一度は読んでほしい名著です。
▶実際に読んでみたおすすめ3選
・誘惑者/高橋たか子
・O嬢の物語/ポーリーヌ・レアージュ
・重力と恩寵/シモーヌ・ヴェイユ
物語は繋がる
ちなみに、『八本脚の蝶』は『桜庭一樹の読書日記』で紹介されていた作品で、桜庭一樹さんの作品を読むきっかけは、高校時代の友人にすすめられたことがきっかけでした。
『八本脚の蝶』のおすすめ3選に入っている、『O嬢の物語/ポーリーヌ・レアージュ』は実は本日紹介した3冊ともに掲載されている作品でもあります。
あまりにも膨大な量ゆえ、紹介されているすべての本を読み切ることはおそらくできないでしょう。
でも、これから手に取る本が、また自分の中の何かに繋がって行くのかなと感じるととてもわくわくします。
最後までご覧いただきありがとうございました。