推し大河ドラマ「葵 徳川三代」について語ってみる
私はあまりコンテンツをたくさん見たり聞いたりというタイプではなく、世の中の流行りにもかなり疎いタイプなのですが、そのかわりというべきか、ずっと推しているものがあったりします。その中の一つに、大河ドラマ「葵 徳川三代」があります。
ものすごく好きで、週末には必ず見ている(平日は早く寝てしまうのであまり時間がない)レベルで、シーンによってはセリフも覚えてしまっているのですが、そういえばあまり語ったことがないなと思い記事化してみました。
以下、「葵」の何が好きかっていうのをただ語っているだけ〜!ヒマな人は読んでね。
※俳優さんについてはすべて敬称略としています。
「葵 徳川三代」とは
2000年放送のNHK大河ドラマ。全49話。脚本はジェームズ三木。主演は津川雅彦、西田敏行、尾上辰之助(現:尾上松緑)で、関ヶ原の戦い直前→関ヶ原の戦い→幕府創設→家康の死→秀忠の治世→家光の治世、と徳川将軍を3代に渡って描く。石田三成役に江守徹、淀殿役に小川眞由美など、豪華すぎるキャストで話題を読んだ。
俳優陣の円熟した演技
「葵」を語る上で外せない要素ひとつめとして、俳優陣の演技のレベルがとんでもなく高いことが挙げられます。もともとキャストの配役からしてめちゃくちゃすごいのですが、特に家康役・津川雅彦、秀忠役・西田敏行、秀忠の妻である江(ごう)役の岩下志麻については文句のつけようがないレベルで、撮影時の空気感まで伝わってくるような素晴らしい作品となってなっています。演技を志す人には必ず見てほしい。
あとおそらくですが、意図的にキャスティングに声がいい人(声が聞き取りやすい人)をあてているようです。そのため俳優と声優を兼業している人が多く、てらそままさき・ささきいさお・磯部勉などが実際に演技しておられるところが見られる貴重な機会にもなってます。
映画並みの「関ヶ原」の映像
こちらもこのドラマを語るときに必ず話題になりますね。第1話で「総括関ヶ原」として関ヶ原の戦いを描き、その後2話〜12話までを「関ヶ原前・関ヶ原」で占めるという珍しい構成です。
で、その関が原の戦いの映像がすごい。実際に草原で数十頭の馬と300人近いスタッフ・出演者、5000本もの旗を使用しています。これは歴史好きなら一度は見てほしい映像だし、のちの大河ドラマでの関が原の戦いのシーンでこのドラマの映像が流用されていることからも、その貴重さが伺えます。
漢文調の武家言葉とそのテンポが素晴らしい
「〜にあらずや」「〜あそばしませ」など、私達が普段使わないような古文漢文調の口調で登場人物が話し、歴史ドラマっぽさを増してくれています。で、ただそれだけではなくセリフ全体のテンポが良い。そのため難しい言葉遣いでも聞いていて心地いいのです。で、それを熟練の俳優さんたちが歌うように喋るもんだから、すっごいトントンとシーンが進んでいくんですね。
「吉報でござる。昨夜毛利輝元より、所領安堵の段、心底より謝し奉る旨、黒田長政殿にご返答がござりました」
「世にも嘆かわしきお言葉かな、姉に不都合あらば、この江が髪を切ってお詫び申し上げます!」
こんなふうに書いてみたけど、実際に聞いてもらいたいな…。たぶん俳優さんが喋ってるのを聞かないと伝わらないと思います。
解説役の光圀・助さん格さん
このドラマは「年表調」と言われることもあるように、そのときに起きたことを時系列的に話を進めていくところにわざと注力しているようです(そのため政治的な事件とかが起きてもその場では解決せず、数年経ってからようやく解決するとか結構ある)。
で、そういう物語の解説役として徳川光圀(水戸黄門)、助さんと格さんを配してわかりにくいところを噛み砕いてくれています。これがなかなかファンキーな解説で、当時日本には存在しなかったカタカナ語を使ったり、物語中に乱入したり。でもそれでも面白く成立してしまっているのは、ドラマを作った人の力量なんでしょうね。
西田敏行演じる徳川秀忠という人の魅力
最後に、このドラマは「徳川秀忠」という人を中心に描いています。脚本家のジェームズ三木氏は「最初は徳川秀忠を主人公にしたかったが、NHKに反対されたので家康・秀忠・家光とした」と語っているほどで、実質的な主人公は秀忠です。
この秀忠、物語開始当初は器量があるとはとても言えません。父にどやしつけられ、妻にはガミガミ言われ、幼い子供を政略結婚で手放し…と辛いこと通し。でも少しずつ成長していきますし、その成長を見守っていける気分になっていきます。
さらに、このドラマについて西田敏行は「家族崩壊の物語」とも語っていたそうです。秀忠の子どもたちで苦労しなかった人はおらず、結婚しても戦が起こって離縁、早世、なかには切腹した人もおり、秀忠はそういう面でもひたすら苦労します。それでも父・家康の遺言を守り、徳川幕府を守っていこうとする秀忠を応援したくなるような、そんなドラマです。
もちろんこのドラマは良いところだけではなく、視聴者からクレームが来たり、キャストの年齢層が高いことから週刊誌に揶揄されたり、いろいろあったみたいです。当時としては平均視聴率があまり高いとは言えず、制作陣が忸怩たる思いにとらわれたこともあったのかもしれません。
でも私はこのドラマが本当に好きです。一生に一度の作品だと思っています。NHKオンデマンドで見られますので、興味を持ってくださった方がおられたらぜひご覧になってみてください。