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【感情紀行記】一コマの教養

 ツイッターもといXを見ている時、こんなポストを見つけた。大学生はメルカリで片っ端からNHKが出版している「100分de名著」を購入して、読めというものだ。

 「○分で」とか「一瞬で」とかいう枕詞がついている情報には、浅はかそうという風に感じる上に、短絡的な感じがするためあまり信用していなかった。しかし、本を普段全て綿密に読むタイプではなく、興味のある本を見つけるのに苦労する自分には、まずは簡単な解説書としてのNHKのこの本を手に取った方が良いのではないかと考えた。まずは、ネットに転がっている映像版のものを見たが、やはり簡単に新しい情報に触れることができ、情報の確度も悪いものではないと確信した。春休みが目前になり、ほぼ春休みとなって時間を持て余し、新しい情報に飢えていた自分は、翌日に急いで大きな書店へと向かった。

 今回手にしたのは、心理学者のアドラーの「人生の意味の心理学」と渋沢栄一の「論語と算盤」だ。アドラーは「嫌われる勇気」などで一世を風靡した、日本では人気の心理学者である。家の本棚にアドラーの本が置いてあることは、今回の本を読み、知ることとなった。本の内容を自分なりに解釈したり、それについて批評したり、公開することは自分の役目ではないと思うため、詳細は書かない。しかし、このアドラーの心理学が流行る理由もよく理解でき、自分の元来からの考えをまさに言語化してくれたようで、とても嬉しかった。次に、渋沢栄一の「論語と算盤」は、近代日本経済の父と言われ、新紙幣の顔となる人物であり、なんとなく知っているけれど教養とまでは身についていないという感覚があったために購入した。時間がある時に簡単によめ、元の本を読むための導入にも良いと感じたので、このシリーズは継続的に読み進めていきたいと思う。

 教養というのは点数化されるものでも、目に見えるものでもないため、簡単には「ある」とは言えないが、少しずつ身につけていきたいものである。それはそうと、大学でも「一般教養」と呼ばれる分野の単位の取得が求められるが、大学における一般的な教養よりも先に常識が足らないのではないかと言わざるを得ない大学生がそこら中にいる。常識なくして教養を学び、わかったように語たり、片手間で単位をむしりとっている学生には強く失望せざるを得ない。

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