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北端

たどり着いた北端
なぜか風は生ぬるく穏やかだ
やっと分かったことがある
ここに着いて
やはり誰しも離れてゆく
わたしの視野から
家族でさえも

緑色の毒ではない酒は失われたものを戻して
くれない
しかし思考の靄を洗い流してくれる
飲み干せば訪れる喪失
重なる孤独
だからここは北端
誰も来ることはない世界のはて
ここにいて感じるのは自分の過ちばかり
どうすることもできず
なにもしない

冷たい風が訪れた
当たり前の北端
頭は冴え高熱が出たときのように目がちかちかする
耳がころころする
脳の機能を開放し今までの罪を消してしまいたい
冴えない思考
そんなものは続かず
ただ寒さに凍えはじめ
動きは鈍く
空が見るだけ
あの空を奪おうとした罪は楔となり突き刺さっていて
この脆い体を成している
その楔が体を止めてるだろうのか
突き刺したい
意識は薄れる天国
やっと来た
奪おうとした空
数々の罪の振り出し
散々な結果
北風に吹かれる石になる
冷たい
わたしの北端



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