
放浪者
孤独の足音はせず漂う幽霊船のように
暗い砂海を音もせず進む
私は目的地のない信奉者
目が見えずどこまでも歩いている
雷雲が埋め尽くす中、ここはどこだろう
信じているものはどこにある
問いかける
漂い歩くほど取られる足、砂の世界
雷鳴が響き足が嵌ってゆく
逃げられない
どこまでも砂、落ちる
信じられないものだらけのこの土地は
煮えたぎるあぶくのように嘘を生む
私はとどまることを知らない放浪者
両足は時間とともに重くなり不自由だ
たださまようだけ
それでも足を進め
気をつければつけるほど、深みに嵌って
信じられなくなる
閉じた自分で不審が乱反射して
縮む
砂まみれの足と体、熱い太陽
ふと、すると雷鳴
雷の電気は縮んだ私を打つだろうか
打てば回路が変わりはじける開放
そうなればいい
目的地はまるでなく
たださまようトランスルーセント
いや、まるで存在のないトランスペアレント
私が見えないのか私を見えないのか
またはそのどちらなのかも分からない
ただ思いの残るだけの残像なら
どれだけ残酷な修行なのか
対象の仏もいない、神ですら
信じているものはどこだろう
その問いかけは延々と反射して戻ってくる混沌
それでも
重い足、進む
夢の中にあるようなゆらぎとよどみのこの場所は
進める足を滑らせて徒労を生む
何もせず何もできずただ歩み続けている現実
これは現実だ
すり減り続ける足は
すねの方まですり減っていて
痛くもなく足は繰り返し動く
この事実を胸に刻み
進み続ける
濁った太陽の下