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詩 | つまらないものですが...

「つまらないものですが」と言われて
包装紙を破いてみれば
本当につまらないものだった

「面白いものですが」と言われて
包装紙を破いてみても
やっぱりつまらないものだった

黙って手渡されたものを
あとになって開いてみたら
ホントに僕に必要なものだった

なにも言わずに手渡されたものに
僕はまだ気がついて
いないのかもしれない

恩を受けたら僕は
すぐにその恩に報いたいと
思ってしまう

なにかを手渡されたら
ほかのなにかを
すぐに返してしまいたい

でもホントに必要なものは
いつも知らぬ間に
手元に届けられるものだ

気が付かない間に渡されたもの
見返りを求めずに手渡したもの
渡されたことにあとになって気付くもの

ホントに大切なものは
無自覚のままに渡されて
受け入れられている

なにか良いことをされても
すぐに「ありがとう」なんて
言えやしない

だってホントに良いものは
あとになってから
ふとした瞬間に気が付くものだから

「ありがとう」への
「ありがとう」の応酬は
ただのあいさつに過ぎない

なにかをもらって
すぐに返したくなるのは
「ありがとう」の負債を
僕が負いたくないからだ

ちょっと考えてごらん
今のあなたを作ったものは
今は忘れたあの人からの贈り物ばかり

もう名前も覚えちゃいないから
返したくても返せない
だから与えられた施しは
人知れずほかの誰かに与えよう



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山根あきら | 妄想哲学者
記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします

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