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分数のわり算はなぜ逆数のかけ算になるの?
はじめに
「分数の割り算では、逆数のかけ算に直します」と小学生のときに習います。
「『 1/3 ÷ 3/5 = 1/3 ✕ 5/3 』 になりますよ」のように。
どういう説明をされたのか、記憶はさだかではありませんが、「暗記しろ!」だったかもしれません。
小学生のときにどのような説明を受けたのでしょう?
「どうして?」と改めて聞かれると、こたえるのに窮してしまいますね。
「機械的にそういうふうに計算すればいいんだよ」と言われて、素直に「そうなんだ」と思えるならば、計算に関する限り何も問題はありません。
わたしもいざ説明しようとすると、なかなか難しいと思っています。
この記事では、分数のわり算の話をする前に「そもそもわり算ってなに?」ということから考えてみます。
整数のわり算の場合
問題
6個のあめ玉を2個ずつ分けます。このとき、何人の人にあめ玉をあげることができるでしょうか?
答え
6÷2=3
ということで、3人の人に配ることができますね。
上の問題では、「6÷2」という整数のわり算になりますが、ここでつまずく人はあまりいないだろうと思います。
日常生活の中でわり算を使うのは、たいてい整数のわり算です。
そして、さらに多くの場合、「割られる数」のほうが「割る数」より大きいです。「総額が10000円でした。5人で割り勘にするといくらになりますか?」のように。
この場合、
「10000÷5 = 2000」なので、1人あたり「2000円」支払えばよいと分かります。
算数の言葉では
(割られる数)÷(割る数)=商
と言いますね。
分数で表せば、
「割られる数 / 割る数 = 商」になります。
この式を書き換えると、
「割られる数=割る数✕商」になります。
10000÷5 = 2000 と
10000 = 5✕2000 とは、基本的に同じことを表しています。
つまり、わり算とは言い換えると、
「割る数」にいくつ掛けたら「割られる数」になりますか?、という問題を考えるのと同じです。
比の値
最初にわり算を学ぶとき、「比」とか「比の値」は学びませんが、比で考えるとわり算の意味が分かりやすくなると私は思っています。
「10000 : 5 」という「比」の「比の値」は先ほど計算したように、「2000」になります。
先ほどの問題を「比」で表すと、
10000 : 5 = 2000 : 1 になります。
5を2000倍すると10000になることと、1を2000倍すれば2000になることは、同じだと見なすことにほかなりません。
分数とは比の値のこと
例えば 「1/3 ÷ 3/5 」で求める答えをAとしてみましょう。
比を使って書けば、
1/3 : 3/5 = A : 1
となります。
つまり、「 1/3 ÷ 3/5 」の計算とは、
「1/3 : 3/5 = A : 1 」を満たすAの値を求めなさい、ということと同じことです。
1/3 : 3/5 の「3/5」が「1」になるように変形していくと次のようになります。
3と5の公倍数は「15」なので、
1/3 : 3/5
=( 1/3 )✕15 :( 3/5 )✕15
=5: 9
ここで
5も9も「9」で割れば
5: 9= 5/9 : 1
になります。
改めて書くと
1/3 : 3/5 = 5/9 : 1 =A : 1
つまり、
1/3÷3/5=5/9 ということになります。
一般的に書くと
b/a ÷ d/c の値を求めるのは、
b/a : d/c = A : 1 を満たすAの値を求めることと同じです。
b/a : d/c
=(b/a)×a×c : (d/c)×a×c
(「b/a : d/c」のb/a と d/c のそれぞれに「a × c」を掛ける。)
与式
= b×c : d×a
ここで「d×a」を「1」にするために、
b×cとd×aをそれぞれ「d×a」で割ると、
与式
=b×c / d×a : d×a / d×a
=b×c / d×a : 1
つまり、
b/a ÷ d/c =b×c / d×a
Aの値は b×c / d×a 。
b×c / d×aを書き換えると、
「b/a × c/d」になります。
だから、分数の割り算では「逆数」を掛けることになります。
結び
だいぶ話を端折りましたし、循環論法になっているような気がしないでもないですが、「比」や「比の値」というツールを使って、「割る数」を何倍したら「割られる数」になるのか?、と考えると分数の割り算で逆数をかける意味が理解しやすいのではないか、と私は思っています。
ほとんど定義のようなことを改めて説明するとなると、難しいものですね。
別解
結局は同じことなのですが、分数の割り算では逆数を掛けることを忘れてしまったら、足し算や引き算と同じように「通分」してから計算してもいいでしょう。
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「なんで分数の割り算では逆数を掛けるの?」という疑問は、途中の「通分」の過程をすっ飛ばしているから不思議に思えるのであって、「分数の四則計算」は通分する(割られる数と割る数の「尺度」を揃える)ことが基本だということを思い起こせば、特段不思議ではありません。
分数の足し算についてはこちら(↓)
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