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小説 | 創作創世記

 神は暗闇の中で最初に地球をつくった。団子をこねる要領で、とにかく丸いものをつくろうとしたのだ。

 神は日本人ではない。基本的にコメを召し上がったことはなかった。
 ましてや、おにぎりをつくったことなどはなかった。地球を握ることは神といえども難儀であった。

 とりあえず、こんな真っ暗では話にならぬ。神は呟いた。「光あれ!」と。
 すると、目の前に電気スタンドが現れた。神はポチっとスイッチに触れた。しかし、電気スタンドはつかなかった。当然である。コンセントが入っていないのだから。

「電気あれ!」
 神は叫び声をあげた。すると雷鳴がとどろいた。

「あれは電気だな、しめた!」
 神はほくそ笑んだ。

 神は両の手を天空に向けた。
 雷が神に落ちた。ビリビリと神はしびれた。

「おお、これこそ、私が求めていた電気だ」

 電気スタンドのコンセントに触れると、果たして光が点灯した。

「やった!さすがにオレは神だ!」

 神は雷にしびれながら、電気をどんどん溜め込み始めた。その電力を用いて、自らの小水を電気分解してみた。
 大量の酸素と水素が大気をつくった。小水にはアンモニアが含まれていた。窒素も手に入れることができた。

「しめしめ、これでたくさん肥料がつくれるわ」

 あっという間に地球には、森林ができた。

「いぇ~い。しかし、退屈な地球だ。そうだ!、人間もつくっちゃおう!」

 神は、アダムとイブという人間をつくった。

「まだエ○チしてはならぬ!」

 アダムとイブには、神の言葉を解する知恵はなかった。たくさん愛しあった2人の間には、子どもが生まれた。

 それがカインとアベルだった。


おわり


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山根あきら | 妄想哲学者
記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします

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