親愛なるアポ子へ | 企画 | #私の思う女子力
#私の思う女子力募集要項
#アポロさん
拝啓
アポ子様
ご無沙汰しております。心のこもったお手紙を頂戴して、喜びとともに若干の戸惑いを覚えています。
心の深いところで、アポ子のことを信頼できる女だという信頼感に甘えてしまって、「もっと女子力上げろよ!」なんて、心にもないような言葉を浴びせかけてしまいましたね。本当に申し訳なかったと思っています。
なんと言ったらいいのでしょう?
男には女の前では、多少なりとも強くあらねばならないという奇妙な自負心があるものです。本当のメンタルなんて、アポ子をはじめとする女性のほうが、僕なんかより数倍強いのにね。
僕には「オレについて来い!」みたいな実質が伴わないのに、昔から言われるような男らしさ・ダンディズムがなければならぬ、という価値観に引きずられているところがあるのかもしれません。
自分に自信がなく、またそれを乗り越えようとする努力もしていないくせに、アポ子の前では、自分のことを強い姿に見せたいなんていう身勝手な思いを盾にして、「アポ子、女子力を高めろ!」と言ってしまうことが多かった。情けない男だと笑ってくれ!
口では「対等でありたい」なんていう、ジェンダーレスな価値観を身にまとっているかの如く見せかけながら、単に自分の弱さの隠れ蓑にしているだけではないかという自責の念という波にさらわれながら、僕の理想の男性像と現実の僕を勝手に比較して、その乖離に思い悩み、理想に追い付けない現実の自分を見たくないという自縄自縛の論理に支配されて、アポ子に冷たくあたるという悪循環を繰り返していました。
本当に情けないね、男って。否、僕自身が情けない。アポ子を守りたいなんていう虚像を追い求めるのではなく、身の丈にあった自分のままで、アポ子のことを「知る」ことから始めたい。「理解」はそのあとにやってくるのだろう。そんなふうに考えています。
叩いたのは、きみではなく、僕のほうです。心から申し訳なく思っています。ごめんなさい。
ポインセチアのような赤い情熱をもつ君に愛をこめて。
敬具
あきらより