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文法 | 第4文型不要論

 英語で学ぶ5文型
 そのなかで、第4文型と呼ばれるのは、「SVOO型」(主語+動詞+目的語+目的語)である。



(1) 第4文型における「HAVE関係」


たとえば
He gave me a book.
(彼は私に本をくれました)のように、
主語が(人)に(物)を与える」という意味を含むので、第4文型をとる動詞のことを「授与動詞」という。

 授与動詞が使われる場合は、どんな時もニュアンス的に「人が何かを持つ」ことを表している。
 これを「HAVE関係がある」と言うことがある。

 さきほどの例文ならば「me」(私)が「a book」(本)を「持つ」(HAVE)。

 あえて「HAVE関係」を強調して訳せば、「『私が本を持つ』という状況を彼は『give』(与えて)してくれた」という感じである。


 同様に、
My teacher taught me English. 
(私の先生は私に英語を教えてくれた)なら、
『私が英語を持つ』という状況を、私の先生は『教える』ことで与えてくれた


My sister made me dinner. 
(姉が私に夕食を作ってくれた)なら、
『私が夕食を持つ』という状況を姉が『作る』ことで与えてくれた」。


He sang me a love song.
(彼はラブソングを私に歌ってくれた)なら、
『私がラブソングを持つ』という状況を彼は『歌う』ことで与えてくれた


(2) 第4文型を第3文型に書き換える


 一般的に第4文型は、前置詞を添加して、目的語を入れ換えると、第3文型に書き換えられる。

 さきほどの第4文型の例文を第3文型に書き換えると、次のようになる。

He gave me a book. (第4文型)
He gave a book to me. (第3文型)

My teacher taught me English.(第4文型
My teacher taught English to me.(第3文型)

My sister made me dinner. (第4文型) 
My sister made dinner for me.(第3文型)

He sang me a love song.(第4文型)
He sang a love song for me.(第3文型)


 第4文型の2つに目的語は、
「人(に)」「物(を)」という順番だが、「人」と「物」を入れ換えて第3文型に書き換えるときに、giveやteachのように「to」をとる動詞と、makeやsingのように「for」をとる動詞がある。


(3) 「to」をとる動詞、「for」をとる動詞


 第3文型に書き換えるとき、「to」をとるのか?、それとも「for」をとるのか?

 「give」「teach」という動詞は「to」をとる。「与える」とか「教える」というのは、相手がいてはじめて可能となる。1人きりなら、与えたり、教えることはできない。そういう意味を持つ動詞の場合は「to」をとる。

 「make」「sing」は、「for」をとる動詞だ。「作る」ことや「歌う」ことは、誰か目の前に相手がいなくても可能。やろうと思えば、作ることも歌うことも1人でできる。このような意味の(授与)動詞は、第3文型に書き換えるときに「for」をとる。


(4) 前置詞「to」と「for」のイメージ


 前置詞「to」と「for」は、混同しやすいが、具体的な用例を思い浮かべてみよう。

 「to」には、「go to school」(学校に行く)、「to some extent」(ある程度は)、「the key to success」(成功への鍵)などのような使い方があるが、いずれも「到達点」がイメージされる。

 「for」には、「look for~」(~を探す)、「be bound for~」(~行きである)、「for example」(たとえば)などのような使い方があるが、いずれも「あっちの方向に」と指し示すような状況がイメージされる。

 だから、
「与える」(give)、「教える」(teach)、「貸す」(lend)のように、相手という到達点がハッキリしている場合には「to」と相性がよく、
「make」(作る)、「sing」(歌う)のように、「あちらに向かって」ということを指し示す場合には、「for」と相性がよい。


(5) そもそも授与動詞の数は少ない


 第4文型を作る動詞の数は、多くはない。だから、ひとつひとつの授与動詞を使った例文を覚えていけばいい。また、第3文型へ書き換えた例文ごと覚えてしまうのもいいだろう。
 しかし、「to」や「for」の使い分ける理由をきちんと理解しておけば、第4文型をあえて用いることなく、すべて第3文型で第4文型で伝えたいことを代用できる。

 また、たとえば、「~に…を説明する」と言いたい場合、第4文型を作らない(作れない)「explain」という動詞を使うならば、「I'll explain that to him.」(私がそれを彼に説明する)と、「to」を使うべきか、「for」を使うべきかと悩む必要はなくなる。

 授与動詞ではない動詞を使うときにも、授与動詞を使った第4文型から第3文型へ書き換えるときに覚えた知識は、転用することができる。


(6) 暗記か?理解か?


 この前、「丸暗記vs理解」というエッセイを書いた。

 記憶力の強い若いときには、大量に単語や言い回しを覚えることは、さほど苦ではないかもしれない。一般的に、若いときのほうが、年をとってからよりも、記憶力が優れている。

 しかしながら、理解力は経験を積むほど、強くなるものだ。
 
 一般的に、語学は若い頃のほうが有利だと言われる。「聞く、話す」という面では、若い時のほうが上達が早い。
 しかしながら、理屈を理解して覚えるという能力は、年をとっても、伸び続けると私は思っている。

 瞬発力は若い頃にはかなわないかもしれないが、あきらめるのではなく、きちんと理解していけば良いだろう。

 完全な暗記に頼るのではなく、少し考えれば理屈からその場にふさわしい表現を導き出せるようにすること。それが、大人の語学学習では生きてくることだろう。




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