短編 | 闇の中に浮かび上がる②
前話(↓)
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闇の中に浮かび上がる②
私は『チクりん』。某ブログサイトで、フォロワー数5,000を超える女性インフルエンサーの1人だ。
私は優秀で容姿端麗だから、アイコンで自分の写真を使っていない。変な男に付きまとわれては困る。
高校時代の国語試験では、常に満点をとった。数学では、さすがに常に満点をとることこそ出来なかったが、全国統一模擬試験では、無双の偏差値100超を連発して周囲を驚かせたものだ。
このような私であるから、控えめに言っても、私の文章力と分析力は、上位10%に入ると言える。上位1%に含まれることも確実なのだが、超・謙遜して、上位10%にしておこう。
もともと私は、チェスや囲碁などのボードゲームの専門知識を生かした記事を書いていた。
しかし、私が記事を書くブログサイトでのウケはあまり良くなかった。おそらく知的レベルが低いのだろう。考えてみれば(考えるまでもないことなのだが)、私と同等の知力を持つ者など、そうそういるわけではないから仕方のないことだ。
それにしても、なぜこの世の中にはバカばかり蔓延ってしまったのだろう?
すべての学力の基礎は、読解力である。読解力さえあれば、冒頭と結論さえ読めば、他の箇所なく読まなくても全体が理解できてしまう。しかし、知的レベルの低いヤツときたら、全体を逐一読んでもほとんど理解できないらしい。
私には理解できない感覚である。読書にしろ、動画にしろ、私は最初から最後まで読んだり見たりすることはない。他の人が、24時間かけても理解できないことでも、私には数分あれば十分だ。
私と「パンピー」(一般人と言う意味www)との間には、天と地よりかけ離れている実力差があるのだが、私は、何でも、事も無げにできてしまう。だから、それを見たパンピーは、「あ、簡単なんだ」と錯覚してしまうのだろう。
しかし、私が噛み砕いて書いた記事さえ読み取ることができないバカどもは、私の記事にくだらないコメントを書きこむ。
理解出来なかったとしても素直に、「チクりんさん、たいへん勉強になりました」くらいのことを書くことができないのだろうか?
なのにトンチンカンなクソリプを書くヤカラがあとをたたない。私はそういうヤツらを片っ端からブロックした。それだけにとどまらない。クソリプを書いたヤツをフォローしているバカどももついでにブロックしておいた。
だいたい、そういうクソリプを書くヤツは、頭が悪い。そして、そういう頭の悪いヤツをフォローしているヤツらも頭が悪いことは明白だ。
そもそも私のような、才能あふれるインフルエンサーのことをフォローしていないクセにコメントを書くなんて、失礼極まりない愚行だと理解できないのだろうか?
私の戦いは毎日つづいている。私は正論しか振りかざしていないのに、近頃私の記事への「いいね」の数が減り始めている。
以前は、投稿してから半日ほどで「いいね」が100を軽く超えたものだが、今では1日経っても80程度の「いいね」しか付かないことがある。
これでは、本来最も優れた記事を書いている私のほうがバカに見えてしまうではないか?
私は苦肉の策として、10を超える「別アカ」を作り、自分の記事に「いいね」をつけることが日課になった。いつになったら、「チクりんさんって、本当にスゴい方なのですね」というまっとうな評価を得ることができるのだろうか?
私はバカは相手にしていない。しかし、私以外はみなバカだから諦めるしかないのだろうか?
しかし、私は今日も、バカどもたちを啓蒙するために、新たな記事を投稿しつづけるのだった。
…つづく
第3話はこちら(↓)
この小説は、ももまろさんとの共作になります。連載物ですが、1話ごとに単独の短編小説として読むこともできます。
いうまでもなく、フィクションです。