詩 | 啄木ソネット形式
ソネット(14行詩)と言えばシェイクスピアの「ソネット」が有名だが、ルールが複雑だし、日本語にそのまま当てはめようとしてもうまく作れない。
日本にもソネット形式の詩はあるが、「14行で書く詩」ということ以外は作る人によって異なる。
石川啄木の詩集「あこがれ」に「杜に立ちて」というソネット形式(14行詩)の詩がある。
これが日本語で作るソネットの絶対的な形式だ、とは言えないが、啄木の「杜に立ちて」(もりにたちて)は、
4-4-4-6が「14行」繰り返される。
実際の作品を見ていただいたほうが早いので、以下に「杜に立ちて」を掲げる。
下のリンク先と、吉田精一(著)「日本近代詩鑑賞」(創拓社)を参考にした。
⚠️ひらがな表記は歴史的仮名遣いと現代仮名遣いが交じっている。どちらかに統一することはあえてしなかった。私の好きな方を選択した結果である。
石川啄木 | 杜に立ちて
秋去り、秋来る時劫の刻み受けて
五百秋朽ちたる老杉、その真洞に
黄金の鼓のたばしる音伝へて、
今日また木の間を過ぐるか、こがらし姫。
運命せまくも悩みの黒霧落ち
陰霊いのちの痛みに唸く如く、
梢を揺りては遠のき、また寄せくる
無間の潮に漂ふ落葉の声。
ああ今、来りて抱けよ、恋知る人。
流転の大浪すぎ行く虚の路、
そよげる木の葉ぞ幽かに落ちてむせぶ--
驕楽かくこそ沈まめ。--見よ、緑の
薫風いづこへ吹きしか。胸燃えたる
束の間、げにこれたふとき愛の栄光。
ひらがなで書くとこんな感じ。
あきさり|あきくる|じごふの|きざみうけて
いほあき|くちたる|おいすぎ|そのまほらに
こがねの|つつみの|たばしる|おとつたへて
けふまた|このまを|すぐるか|こがらしひめ
うんめい|せまくも|なやみの|くろぎりおち
いんりょう| いのちの|いたみに|うめくごとく
こづえを|ゆりては|とおのき|またよせくる
むげんの|うしおに|ただよふ|おちばのこえ
ああいま|きたりて|いだけよ|こいしるひと
るてんの|おおなみ|すぎゆく|うつろのみち
そよげる|このはぞ|かすかに|おちてむせぶ
けうらく|かくこそ|しずまめ|みよみどりの
くんぷう|いづこへ|ふきしか|むねもえたる
つかのま|げにこれ|たふとき|あいのさかえ
シェイクスピアの
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今回は啄木のソネットを取り上げました。ソネットは、もともとヨーロッパで生まれた詩の形式なので、そのまま日本語にルールを当てはめることはできません。
連の分け方も詩人によって変わります。
14行が基本的な形ですが、必ずしも14行とも限りません。
「短歌よりちょっと長めの詩」というゆるい定義でもいいのかな、と思いました。
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