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エッセイ丸暗記vs理解

 高校時代の話。
 英語の先生が定期テストで、大量の穴埋め問題を出したことがあった。

「先生、英語って暗記科目なんですか?これじゃあ、『理解なんかしないで、丸暗記しろ』みたいな感じじゃないですか?」

 そのクラスメートに先生は答えた。
「英語は暗記しないと使えないよ。理解だけではダメだ」と。

 おそらくくだんの疑問を先生に投げ掛けたクラスメートは、英語という科目を歴史のような暗記科目ではなく、数学のような理解を必要とする科目だと考えていたのだろう。

 先生はきっと、英語のことを「理解だけでは不十分で、暗記も大切だよ」とおっしゃりたかったのだと思う。


 私が思うに、英語という科目は、考えるというだけでは不十分だ。もちろん、考えることも大切なのだが、基本的な単語や熟語は覚えておかなければならないし、文法を理解しておかなければならない。
 会話するときには、瞬発力も必要だ。いちいち、「おはよう」は「良い朝を」だから「Good morning.」だな、なんて考えていたら会話にはならない。そういう意味で、英語という科目には、歴史のように暗記するという側面と、体育のような実技的な側面がある。

 まぁ、歴史だって暗記だけではなく、「5W1H」のように因果関係を理解することが必要だ。体育だって頭を使わずに体をただ動かすだけではない。ルールや状況判断が理解できないようでは困る。どの科目も「暗記」と「理解」は両輪であり、どちらか一方だけでは不十分だ。

 理想を言えば、英語だけでなく、数学も体育も、「理論と実践、理解と暗記とのバランスよく」ということだが、両者の間を行ったり来たりすればいいだろう。

 英語ならば、単語や熟語を覚えることに疲れたら、話してみたり、作文してみたり。
 スポーツならば、いくら体を動かして練習してもスランプから抜け出せないなら、本を読んだり人の意見を聞いて、内省したりイメージ・トレーニングをしてみたり。

 最初からバランスよく同時にこなすことは難しいから、英語だったら、「暗記」に重きをおく時期と「理解」に重きをおく時期とを交互にもてばいいだろう。
 そのうち、どちらも自由自在に往復できるようになるんじゃないかな?



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