音と書かれた文字と
人間の言語には、日本語であれ、英語であれ、たいてい表記する文字があり、音もある。だが、文字のない言語も多い。とするならば、言語に不可欠な要素は、文字ではなく、音である。人間の言語を研究するならば、音を無視してはならない。
しかしながら、音はその場で消えていく。古代までいかなくても、近世であっても、録音器機のなかった時代にどのように実際には発音されていたのかはわからない。あくまでも、文字に残されたものを参考に推定するほかない。
文法書では(文法書は文字で書かれるものだから)音よりもつづりに着眼することが多い。音無しの言語はないはずなのに、文字から見えるものが優先される。
英語を教わったときを思いだそう。
教科書では、綴りをみて「規則動詞」「不規則動詞」を定める場合がほとんどだが、「音」に注目すると、異なる分類ができそうだ。
たとえば、「play」という動詞は規則動詞であり、「pay」は不規則動詞だと教えられる。本当にそうだろうか?
文字で見れば「play」という動詞は、
play - played - played と変化する。過去形・過去分詞には「-ed」をつけるというルールに合致するから、確かに「規則動詞」なのだろう。
文字で見れば「pay」という動詞は、pay - paid - paid となり、過去形・過去分詞には「-ed」をつけるというとルールには合致しないから、「不規則動詞」に分類されている。
しかしながら、音を基準にして、規則動詞の過去形・過去分詞では「『-d』の音が原形に付加されるもの」と定義すれば、「プレイ・プレイド・プレイド」(playの変化)も「ペイ・ペイド・ペイド」(payの変化)も同じ規則動詞になる。
「say」の場合はどうか?
つづりだけみれば「say - said- said」であり、「pay - paid - paid」と同じように見えるが、発音は「セイ・セド・セド」であり、「pay」とは異なる音変化をする。
「セイ・セイド・セイド」と発音するなら、規則動詞と認めてもよいが、そうではないから、sayという動詞は、文字の上でも発音の上でも「不規則動詞」だと言えそうだ。
この記事のまとめ
playという動詞は、綴りの面でも発音の面でも「規則動詞」である。
payという動詞は、綴りの面では「不規則動詞」だが、発音の面では「規則動詞」である。
sayという動詞は、綴りの面でも、発音の面でも、「不規則動詞」である。
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