短編 | 理科室まがった
「右手だとか右ねじの法則とか、なんか覚えるの面倒くさいよね」
「たしかに。こんなの覚えて何の意味があるんだか」
「でさぁ、結局さぁ、右手の法則ってなに?」
「オレもちゃんと理解できたわけじゃないけど、電気の流れはプラス➕からマイナス➖だろ。そのときに右ネジを置いたとき、ネジの回る方向に磁界ができるんだってさ」
「どこから右ネジが出てくるの?そんな都合よくネジが出てくるわけがない。それに、そもそも右ネジとか左ネジっていうのがよ~わからん😵🌀」
「まぁ、いいか。で、右手の法則ってなんだ?」
「コイルを握るようにつかんだとき、親指の方向がN極になるんだってさ」
「電気の流れてるコイルは、つかみたくないよね」
「感電🔋するかもしれない」
「このへんにしておこうか?ますます頭が混乱するだけだから」
「そうしようか?」
「ところで、前から気になっていたんだが、あそこの赤いボタンはなんだ?」
「非常ボタンかな?」
「押してみようか?」
私たちは二人一緒に赤ボタンを押した。
「うわぁ、理科室が曲がった」
「曲がったどころじゃない!この部屋、飛んでるぞーーー」
この部屋の天井はN極で、赤ボタンは電源だったらしい。
フレミングの左手の法則に従って、理科室全体が動いたらしい。こんな非常時にどっちに動くかなんて考えている暇はなかった。
おしまい
記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします