バイクで美術館巡り:東山魁夷記念館
〒272-0813 千葉県市川市中山 1-16-2
https://www.city.ichikawa.lg.jp/higashiyama/
駐車場
バイク:専用の場所はないが係員が案内してくれる
自転車:公共施設によるあるタイプの駐輪場がある
クルマ:無料駐車場あり
入場料:520 円 (JAF 会員は団体料金扱いで 420 円)
住所は市川市だが、船橋市との市境のすぐ近くにある。千葉県北西部で江戸川から延々とつづく住宅密集地のど真ん中なので、正直言って、快適なツーリングとは縁遠い地域かもしれない。特に渋滞に関して、非常に注意を要するタイミングがある (後述)。
記念館
東山魁夷が市川市に住んでいたという事で、その隣に市が設置した、こじんまりとしたおしゃれな建物である。
東山魁夷の作品は、その名を関する美術館がいくつかあり、とくに長野県立美術館 (群馬県境のすぐ近く) の東山魁夷館が素晴らしい収蔵品を入換え展示している。それに比べるとこの市川の記念館は、二階建てだが規模はかなり小さく、展示室は各階に一つずつしかない。見るだけなら 30 分くらいで十分である。
しかしここは、東山魁夷の不思議な雰囲気の作品を直接見られる、都心に近い施設として貴重である。スケールの大きな作品では、そのスケールが雄大とか壮大といった押しの強い言葉とは違う、静かなスケール感である。森林では木々のディテールは描かれていないが、やはり不思議としか言いようのないリアリティがある。中には、他のものよりは写実的な作品もあるが、なんとも不思議な静けさを感じる。これは写真や画集で伝わるとは思えない。
東山魁夷は日本画の巨匠というイメージだったが、若い頃の留学経験からドイツ・オーストリアの文化に造詣が深く、クラシック音楽が好きだったそうだ。その辺り、つまり中欧や北欧の湖の景色などが作風にでているのだろう。
あと「馬が好きなんだな」とは思った (← 伏線)。
館内には休憩室があり、そこには訪問者がメッセージを残すノートがある。
老若男女さまざまな人のメッセージや絵などに、スタッフの方がコメントを書いていて、10 冊以上あるこれまでのノートも見る事ができる。中にはプロの漫画家と思しきイラストメッセージなどがあったりして、パラパラと眺めると楽しい。これを勘定に入れると、訪問は 30 分では全然すまないように思う。
食事
館内にはカフェがあり、カレーやオムライスなどの軽食が取れる。好天時は「魁夷の森」と称する庭園の脇のテラス席で食事ができる。
その森は決して広くはないが、針葉樹を中心に作品世界を再現したような様子になっている。なお私がテラス席でソーセージ盛り合わせを食べていたとき、お寺の鐘の音と、学校のチャイムが聞こえていた。
館の周囲は住宅がびっしりで、その中に料理屋やコンビニが点在しているが、有名な巨大エンターテインメント施設が徒歩 15 〜 20 分ほどのところにあり、そこが営業していれば食事には全く困らない。東山魁夷が市川に居を構えるとき、それはすでにそこにあった。
周囲
記念館はその巨大施設、つまり中央競馬の中山競馬場の西約 1 km のところにある。そういえば東山魁夷の絵にはよく馬が描かれているな...とか最近ソシャゲも流行ってるな...とか思いが至ってしまうが、現実問題として、競馬が開催されるとき、つまり土日は周囲はかなり渋滞する。そうでない日も朝夕は渋滞しがちだが、皐月賞 (4月開催だが) や有馬記念などの盛り上がるレースの時は、それはもう、絶望的な交通状況になる。道路は狭いところが多く、原付でもすり抜けは容易ではない。なお競馬の開催日以外でも競馬場の営業はしている (昼休みに閉まったりするが)。
競馬で勝馬投票券 (= 馬券)を購入できるのは成人だけである。昔は成人でも学生は買えなかったが、今は 20 歳以上なら誰でも買えるようになっている。それに中山競馬場は子供でも誰でも入れる。入場料は 200 円だが中学生以下は無料である。気合いの入った遊具群のあるキッズスペースがあったり、ポニーに乗れたりする。馬が走るのを間近に見るとかなりの迫力で、また食事もいろいろあり、馬券を買える人は試しに買ってみてもいいし、半日くらいは余裕で楽しめると思う。競馬新聞を買って、ウェブとかで予想屋から予想を買って 、その通りに馬券を買う、とやってもそんなにお金はかからない。馬券は 1 枚 100 円だし、予想は 1 レース 200 円くらい、丸一日分の予想で 1000 円とかである。しかしもちろん無保証 = ハズれても恨みっこなしである。
正直に言えば、競馬の開催日は電車で行った方がいいかもしれない (電車も混むけど)。JR 武蔵野線の船橋法典駅から専用の地下道がのびていて、歩いてすぐである。なお中山競馬場のクルマの駐車場はどこも有料だが、二輪は無料でとめられる、ということでいいと思う。
競馬場以外にも、地図を見ると分かるが昔米軍のレーダー基地だったところが、競馬場のすぐ南東にある。ただ現地に行っても道路が円形なこと以外には、当時を偲ぶものは記念碑くらいしかない。