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対話体小説集

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地の文を使わず、全編会話文だけで構成された物語のことを、対話体小説といいます。 代表的な作品として、マヌエル・プイグの『蜘蛛女のキス』や恩田陸の『Q&A』、小林泰三の『アリス殺し…
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警部、お願いします!

【scene1】

「警部、お願いします!」
「これは、なかなか厄介なヤマだな」
「ということは、何か分かったのですか?」
「あぁ、幾つか興味深いことがな」
「……と言いますと?」
「先ず、これは明らかに単独犯、又は複数名による計画的、若しくは衝動的な犯行だ」
「なるほど。と言うことは……」
「そうだ。犯人は、おそらく内部関係者、或いは外部の人間だろう」
「だとすると、仰るとおり、厄介なヤマになり

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警部、お願いします!(12)〜秋ピリカ、ボツ作〜

警部、お願いします!【scene12】

(本文1,200文字)

「警部、お願いします!」
「なんだ? 密室と聞いて楽しみにしていたのに、窓が空いてるじゃないか!」
「いえ、警部、ここはタワマンの30階です。ご存知かと思いますが、この窓はほんの少ししか空きません」
「だから何だ?」
「そのぉ……ここから人が出ることは不可能です。もし出られたとしても、落ちて死ぬだけです」
「だとしても、脱出ルート

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適した仕事と演じることと

フォロワーさまの投稿で知りました。
山根あきらさま、こちらの企画に参加させていただきます。
よろしくお願いいたします。
#青ブラ文学部 #眠り薬 #答え合わせ

【適した仕事と演じることと】

(本文約5,500文字)

「どうぞ、入って」
「これは……想像以上だな。景色もすごいじゃないか」
「私以外では、あなたが初めてよ」
「それが本当なら、光栄だね」
「仕事以外じゃ、嘘つかないわ」

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布団から(#シロクマ文芸部)

「布団から、で始めなあかんねんけど、どないする? なんか思い付く?」
「そやな……布団からぼた餅とか」
「はぁ? アホなんか? 棚からやろ?」
「なんやねん、そんな、布団から棒に怒るなよ」
「藪から棒やろ」
「そうなん? 知らんかったわ。布団から鱗や」
「目や! 布団から鱗って臭そうで嫌やん」
「でも、それ言うたら、目からも嫌やん」
「それもそうやけど……」
「あはは、ミスったな。布団から出た錆や

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私のこと好き?

「ねぇ、私のこと好き?」
「うん、好きか嫌いの二択なら好きだよ」
「『まぁまぁ』も入れて、三択にすると、どう?」
「そうだなぁ……やっぱ、好きなのかな」
「じゃあ、その『好き』を上中下に三等分すると、どこに入る?」
「そこまでしなくてもいいじゃん」
「松竹梅でもいいよ?」
「だから、『好き』を分ける必要ないって」
「だって、『好き』にも『ちょっと好き』とか『めっちゃ好き』とか、色々あるでしょ? ど

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警部、お願いします!(11)〜毎週ショートショートnote〜

警部、お願いします!【scene11】

(本文410文字)

「警部、お願いします!」
「ほぉ、見立て殺人か。俺も初めてだ」
「見立て殺人……ミステリに出てくる、童謡とか伝説に準えて事件が起きるという、アレですか?」
「分かってるじゃないか」
「で、何に準えているのですか?」
「殺人数え歌だ」
「ど、どういうことでしょうか?」
「一つ、死因は窒息死!」
「え?」
「分からんのか? イチゴだよ。ガ

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警部、お願いします!(10)〜毎週ショートショートnote〜

警部、お願いします!【scene10】

(本文410文字)

「警部、お願いします!」
「死因は分かったか?」
「はい、米を喉に詰まらせ窒息死、事件性はない可能性が高いとのこと」
「いや、これは撲殺だ」
「え? な、何故…」
「見ろ、辺り一面ご飯だらけだろ?」
「自治会の祭りで配るおにぎりを、大量に作っていたそうですので」
「つまり、凶器はおにぎりだ。杖のような棒状にまとめると、そこそこの鈍器に

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警部、お願いします!(9)〜毎週ショートショートnote〜

警部、お願いします!【scene9】

(本文410文字)

「警部、お願いします!」
「分かってることを教えてくれ」
「はい、ガイシャは佐藤太朗、二十二歳の大学生。ホシの田中次郎は、吹奏楽部の一つ後輩。二人は同じ高校出身で、高校時代も吹奏楽部で先輩後輩の間柄でした」
「なるほど、何者かによる暗殺……厄介な事件だな」
「動機は、アルハラです。ガイシャは下戸の田中に日常的に飲酒を強要し、断ると暴力を

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警部、お願いします!(8)〜毎週ショートショートnote〜

警部、お願いします!【scene8】

(本文410文字)

「警部、お願いします!」
「何だ、この床は! マーガリンでも塗ったのか?」
「いえ、マーガリンではなくバターです。ガイシャは足を滑らせ、打ち所が悪く、ほぼ即死。ガイシャの友人のユーチューバーがイタズラで床にバターを塗り、撮影していた線で調べております」
「何故、そう思う?」
「実は、カメラが二箇所に仕掛けられており……」
「そうじゃない

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【緊急対談!】〜宴の魅力について〜(※フィクションのパスティーシュ小説です)

——本日は、まもなく開宴する、第2回「54字の宴」というイベントの魅力について、主催者の櫟さんに直接お話をうかがおうと思います。では、紹介します。櫟さん、こちらへどうぞ!

こんにちは。櫟です。よろしくお願いします。

——早速ですが、いよいよ来週には宴が始まりますよね。でも、リスナーからは「宴ってなんぞや?」って声も寄せられておりまして、先ずはその辺のことからお話をうかがいたいのですが、ずばり、

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警部、お願いします!(7)〜毎週ショートショートnote〜

警部、お願いします!【scene7】

(本文410文字)

「警部、お願いします!」
「なんだなんだ、こんな所で銃殺か?」
「まだ調査中ですが、おそらく刺殺です」
「しかし、この匂いはなんだ?」
「まだ調査中ですが、酢の匂いかと」
「それは分かっている。知りたいのは理由だ」
「まだ調査中ですが、ガイシャはこの店でカレー屋を経営しており、客と揉めていたそうです。こちらに、らっきょうと福神漬けのスト

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平和とは何か?( #シロクマ文芸部 )

「平和とは何か? だって。ねぇ、平和って何?」
「ママと一緒に考えてみる?」
「うん!」
「じゃあね、逆に平和じゃない世界ってどんな感じかな? 想像してみて」
「んーとね、殺し合いしてるの。あと、暴力とか泥棒とか、悪い人がいっぱいいて……あ、そうだ、テロとか戦争も!」
「そうだよね。じゃあ、そういうのがない世界だったら平和かな?」
「うん、戦争とか暴力とかなくて、悪い人がいない世界は平和だと思う」

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矛盾がままに予想して

「ねえ、今少しだけ、話出来る?」
「ええ、いいわよ」
「良かった、前から一度、君と話をしてみたかったんだ」
「で、何の話かしら?」
「それがね、特にこれといった議題はないんだけど」
「ふふ、変な人ね。矛盾していない?」
「どうかな? 矛盾の定義にもよるね」
「辻褄が合わない現象のことよ。例えば、話がしたいと言っておきながら、話題を提示出来ないようにね」
「いや、違うね。元々辻褄なんか

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「かもめのジョナサン」はロマンティストか否か?

「あなたの尊敬する人って誰?」
「そうだなぁ……尊敬とはちょっと違うし、しかも人じゃないけどね、昔からジョナサン・リビングストーン・シーガルに憧れてるよ」
「人じゃないって、何なの、それ?」
「お前、『かもめのジョナサン』ぐらい、知らないと恥ずかしいぞ」
「なにその言い方……確かに読んだことはないし、『かもめのジョナサン』ってタイトルぐらいしか知らないけどね、ちょっと読んだことあるってだけ

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