櫟 茉莉花
長編、短編など、小説を文字数で分類する正式な定義はないそうです。ただ、一般的には、4,000〜5,000文字以内の短い物語を、掌編小説(ショートショート)と呼んでいます。 ここでは、長くても5,000文字程度までのオリジナル小説をまとめていこうと思います。 冒頭に、文字数と読了時間の目安を記しますので、必要な方は参考にしていただければと思います。
過去に書いたエッセイやノンフィクションをまとめていこうと思います。身バレ防止の為、ほとんどの作品で、随所に創作を交えております。 あと、日記のような雑記とか雑感なども、適度にフェイクを交えつつ。
自分で描いた猫の鉛筆画に、写真の目を合成して出来た画像に、簡単なポエムを添えてみました。 ナルシズム全開の完全なる自己満足シリーズです。
お題に沿って「54字の物語」を書く非公式イベント、「54字の宴」と、関連イベントにご参加くださいました作品をまとめます。 【第1回】お題:肝試し(2023.7月) 【第2回】お題:ハロウィン、落ち葉(2023.10月)
2019年の秋から、インスタで書いてきた「54字の物語」を、ここにまとめていきます。 現在も増殖中ですので、長丁場になると思います。 公式のルールに基く為、記号の後のスペースや三点リーダ等、通常と違う表記も含みます。 文字数調整の為、「ら」抜き「い」抜き言葉を使うこともあります。
他サイトで『オンコ知新』という連載をやっております。 これは、あまり有名じゃないけどすごく良いクラシックの曲を紹介するというコンセプトで、ほぼ自己満足だけでやっているのですけど、更新する度に、やっぱり私は音楽が好きなんだなぁと思うのです。 noteで連載したかったのですが、どうしてもチャットノベルのスタイルで書きたかったので、ノベルデイズを利用することにしました。 ♫ 🎶🎵♩♬♪♫ 🎶🎵♩♬♪♫ 🎶🎵♩♬♪♫ 基本的に、SNSでは「文芸」を主体に活動しているつもりです
ベトナム戦争の最中に谷川俊太郎が書いた歌詞に、武満徹が曲を付けました。 『死んだ男の残したものは』 https://youtu.be/eDjp1Af3oY8 それでも希望を捨てない締め方が感動的です。 「死んだ歴史の残したものは 輝く今日と また来る明日 他には何も残していない」
(本文約4,200文字) 霧の朝市は閑散としていた。湿度が高い為か、出店を取りやめた屋台が目立つ。立体か平面かの違いこそあれ、空きテナントだらけの雑居ビルのように、閉ざされた屋台は寂しい市場の演出に輪をかけている。 楽器や紙にとって、高湿はリスキーだ。何か掘出し物の「音」はないかと前乗りでこの地を訪れた私にとって、期待外れで残念な天候だった。 ここの市場では、アートの切れ端が売られている。音楽のカケラ、絵画の色あい、小説の断片、写真の構図など、ジャンク品やレプリカに
(前話) エピローグ 〜2024年、那古野〜 つい最近のことのようにも、前世並みに大昔にも思えるニコロージ兄弟の来日公演から、実際はまもなく二十年が経過しようとしているところだ。この時間が長いのか短いのか……そもそも、時間軸は主観により伸縮自在だと思っているので、短く感じるのも長く感じるのも、どちらも正解だろう。 しかし、その間に色んな出来事があったことは、感覚ではなく事実だ。私個人のことは触れないでおくが、当時はフリーランスになったばかりだった私が、二十年経った今
(前話) 第7章 ピアニスト ② 国吉朱美を評価する程、当時の私は彼女のことをよく知らなかった。一応、会えば挨拶は交わす程度の顔見知りではあるが、まともに話したことも関わったこともなかったのだ。 美穂と親しくお付き合いをしている以上、尚のこと、深く関わることはないピアニストだと思っていたが、やはり同じ地域で狭い業界に身を置く者同士……それから更に数年後のこと、国吉朱美と仕事をする機会が巡ってきたのだ。 某イングリッシュバーでのことだ。ここのオーナーは、宿り木の会の
(前話) 第7章 ピアニスト ① コンクールで優勝した国吉朱美は、数ヶ月の準備期間の後、そろそろ春になろうかという時期にナポリに旅立った。 バロック時代の作曲家、アレッサンドロ・スカルラッティから始まったと言われるオペラのナポリ楽派。当時のナポリは、後のウィーンやパリに匹敵するほどの音楽の中心地であったと言われている。 ただ、地政学的にヨーロッパの隅の方に位置するナポリは、温暖で過ごしやすい気候とは裏腹に、経済的にも政治的にも決して豊かな大国だったことはなく、常に
(前話) 第6章 コンサート ③ 割れんばかりの拍手の中、二人は一度ステージを後にし、会場は休憩に入った。しかし、ニコロージ兄弟は、直ぐにまた裏方の女の子にちょっかいを出し始めた。 ニコニコ笑いながら、この子をイタリアに連れて帰るんだとふざけている。本番の休憩中なのに……。 でも、ようやく気付いたのだが、彼等は普段のリラックスした状態を保ちたいのかもしれない。意識して、普段通りを心掛けているのかもしれない。変な緊張感を持ちたくないのかもしれない。きっとその方が、良い
煉獄さん、ちょっと粗いけどもう飽きてきたので完成にします💦 これでようやく四人……
(前話) 第6章 コンサート ② さて、いよいよ本番当日……大晦日の朝を迎えた。 私は、予定通り、十時半頃に彼等を迎えにホテルへ出向いた。何故こんな日に仕事を? という不満や疑問は、昨日の練習に立ち合えたおかげで完全に吹き飛んでいた。 どうせ二十分以上は待たされるだろうと予想していたのだが、珍しく時間通りに二人はロビーに降りて来た。兄弟は、昨日の練習時とは別人のような、陽気でお喋りな普段のイタリア人に戻っていた。とてもこれから大一番を迎えるとは思えないほど、リラック
毎年、ご近所さんにカリンをいただくのですが、今年は大豊作のようで、かなり大きめのカリンを6個いただきました。 さてさて、例年はシロップを作るのですけど、氷砂糖は年々高くなっており、庶民には手が出せない高級食材になりつつあります。 近所のスーパーでチェックしたところ、1kg入りで最安値が478円! ほんの数年前までは、二百円代で購入していたのに! 全部、岸田のせいです。多分。 石破さん、先ずは何より氷砂糖が手頃な価格になるような政策をお願いします! この6個全部をシロップ
(前話) 第6章 コンサート ① ニコロージ兄弟が来日すると知った時、私は再会出来ることを嬉しく思った。 当時の私は、フリーランスのピアノ調律師を名乗っているものの、大した仕事もなく、大手楽器店や運送屋に頭を下げて調律を分けてもらいながら、ギリギリの生活を送っていた。また、母校でもある那古野ピアノ技術専門学校の非常勤講師として週に数回教壇に上がることもあれば、教材用のピアノの修理や整備も引き受けていた為、夕方は毎日のように学校へ出向いていた。 ある日のこと、校内で波
(本文約2,600文字) 紅葉から「赤」を抽出して保管する——それが、この季節の僕の仕事。でも、誰もそんなこと知りやしない。孤独な任務なのだ。 抽出した「赤」は大きな陶製の甕で保管する。百リットルぐらい入るらしい。そんな大きな甕が僕の蔵に百個もある。赤は希釈して使うので、一つの甕に1/4ぐらい貯まれば十分だけど、何せ百個もあるからね。単純計算で、2,500リットルもの赤が必要なんだ。 それでも、昔は楽々と集まったんだ。国中、探せば至る所に楓の木があったし、毎年ほぼ決
(前話) 第5章 トライアングル ② ほんの一例として、T大学で時々開催される「キャンパスコンサート」を取り上げよう。 このコンサートは、年に数回、不定期的に行われているのだが、企画は全て杉本が大学に持ち掛け、大学の文化事業の一環として、また地域住民への還元と称して、多額の運営費を捻出させるのだ。 ちなみに、ニコロージ兄弟はこのルートから外れた招聘ではあったが、主要関係者はいつもの三悪人。双子によるキャンパスコンサートも、来日中に開催された。きっと、大学が出資した
(前話) 第5章 トライアングル ① 悪人が三人いるとする。それぞれの思惑が同じベクトルを示す時、暗黙のうちに三者は協力的になり、欲望の三角関係を構築するであろう。しかし、当の本人達に言わせれば、その関係を「友情」と呼ぶので腹立たしく思えるものだ。 ここで言う三悪人とは、T大学の杉本教授、那古野ピアノ技術専門学校の波多野理事長、ProssimoPiano社アントニオ・デ・ロッシ社長のことを指す。そして、とても悲しいことに、私はこの三人と比較的近い関係にあったのだ。
久しぶりに『オンコ知新』を更新しました! https://novel.daysneo.com/sp/works/episode/d4f4b48959d654899f52266348b39556.html 今回は、バッハの大曲「フーガの技法」です。 『Le Pianiste』は、明日から再開します🙇♀️
(前話) 第4章 新境地 ② 数日後、彼女からメールが来た。「近いうちに、また会えませんか?」と。おそらく、コンクールの話がしたいのだろうな……と予想した。 すでに、ニコロージは帰国していた。彼等と美穂の関係も、彼等のコンクールでの考えも知っていた。「マリが判断して……」と、ファビオが言っていたことを思い出した。まだ早いかどうか分からないが、そもそも、適切なタイミングなんて分からない。 ただ直感で……そろそろ美穂に本当のことを話しても良いような気がしていた。 私