脳のおはなし② 記憶のカテゴリー
脳の大切な機能の1つに「記憶」があります。
記憶を時間的に分類すると、長期記憶と短期記憶に分けられ、短期記憶は、電話番号を見て覚えておいて、すぐ電話をかけるような場合で、長期記憶とは、場合によっては一生記憶に残るような、長期間覚えている記憶です。
短期記憶の一つの「ワーキングメモリー(作業記憶)」は、人が情報を操作、処理する一時的なワークスペースです。
作業記憶に一度に保持できる新たな情報は、4~5個で、作業記憶にある新しい情報は、長期記憶にエンコーディングされるか、10~15秒程度で消滅します。
長期記憶は、キャビネットに物を入れていくような作業で、注意を払った情報や、強い感情と結びつく記憶は、長期記憶に移動します。
「海馬(かいば)」と呼ばれる脳の一部分は、情報が大脳に移されるまで一時的に留め置かれる(短期記憶)ための場所で、神経細胞の結合をつくる役割を果たしていると言われ、短期記憶から長期記憶へと情報をつなげる中期記憶を担っています。
海馬は、情報を一時記憶するだけではなく、留め置いた情報に「重みづけ」をするという重要な役割ももっていて、海馬が重要性を判断し、特に重要と判断した情報は大きく、それ以外の情報は小さく、というように、整理整頓してから、大脳新皮質に送り保存されて行きます。
また、海馬のすぐ隣には、感情に反応する「扁桃体」という部分があり、感情が動いて扁桃体が強く働くと、すぐ隣にある海馬も同時に強く働くのだそうです。
結果、感情をともなう物事は強く記憶されるそうです。
こうした感情を含む記憶のことを「エピソード記憶」と言います。
エピソード記憶とは、実際に経験した出来事についての記憶のことで、例えば「○○さんと××という店で、夕食に△△を食べた。そのとき□□について話をして、楽しかった」といったような記憶です。
以上が大まかな記憶の仕組みですが、記憶のされ方には、以下の4つのカテゴリーがあるそうです。
【感覚記憶】
*感覚記憶は、五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)に関係している記憶で、嗅覚は最も強力な記憶のトリガーになる。
*例えば、特定の曲を聞いたら、結婚式や親戚の集まりの思い出が蘇るようなこと。
*強い記憶を持つ人々は、強力な長期記憶を増やすような、視覚的な手がかりを作ることが多い。
【運動記憶】
*話すときの声帯のコントロールのような些細なものから、バランスを失わずに歩くという複雑な運動を行うための記憶。
*運動記憶は、学習技術とも関連している。
*最近のリサーチによると、運動記憶の理解には、2つのステージがあるとされている。
*第一ステージでは、習得する技術のために最も代表的な動きに関わる神経ネットワークを選ぶ。
例えば、ピアノを弾くためには、目、耳、指の神経ネットワークなど。
*第二ステージでは、基本的な動きをマスターし、無意識に動けるまで記憶した後に、脳は動きを洗練させるために、追加の神経細胞を集める。それが、初級者と上級者の演奏の違いとなる。
【視空間記憶】
*視空間記憶は、視覚の神経経路と偏頭葉の空間的方向性の組見合わせで行われる。
*左脳は細部を知覚するのに重要で、右脳は左脳が知覚した細かなことを全体として統合する。
そのおかげで、木も森も理解出来る。
【言語記憶】
*言語記憶は、コミュニケーションの重要な基礎になる物(物体)と言葉を関連付ける能力を導く。
*一旦が学習すると、言葉は似たような意味のカテゴリーに保存される。それは、あなたがある言葉を思い出そうとして、ほかの同じような意味の言葉を思い付く時に顕著になる。
*例えば、母親が、ある子供の名前を他の子供の名前で呼ぶとき。
最近のリサーチでは、他の子供の名前だけではなく、時には子供の名前を犬の名前で呼ぶことも発見されている。
子供も犬も、すべて「愛する人」というカテゴリーに保存されている。
さらに事実を明かすと、母親は子供の名前の代わりにネコの名前を呼ぶことは滅多にない。
*記憶の保存場所から情報を取り出して覚えて、再び保存するというプロセスは、足し算、引き算、代用を使って記憶を色付けしているということ。
*出来事の時間がより経過するにつれて、脳はその記憶を再編成される可能性が高い。
以上の記憶のカテゴリーを知ると、自分がどのカテゴリーによって、物事を記憶しやすいかということが分かりそうですね♪
個人的には、感覚記憶と運動記憶により、長期記憶となっていることが多いように感じました。
自分の記憶を辿ってみることで、最適な学習スタイルが発見出来るかもしれませんね♪