<第1回> ビジネス書は自己啓発マニュアルにあらず、考えて活用すべし
『人は話し方が9割』永松茂久著(すばる舎)
➊イントロダクション~「読んで終わり」になる本vs.ならない本
人気YouTubeチャンネルでも採り上げられている、60万部突破の日本でいちばん売れている話し方の本、『人は話し方が9割』。書店で見たことがある人も多いのではないでしょうか。
早速ですが、本書の「はじめに」から、ちょっと抜粋してみました。
"会話がうまくなる方法、それは「苦手な人との会話を避け、大好きな人と話す時間を増やす」。これだけです"
"話し方で得している人は、特別なことはほとんどやっていません"
"職場、家族、友人、配偶者、コミュニティの仲間・・・・・・といった身近な人たちとの人間関係を円滑にする方法です"
"「あなたの話を聞いている人は、あなたの口から出る言葉だけでなく、総合的なものであなたの話を聞いているから」"
"人は「話し方」を変えるだけで、人生の9割が変わります"
……残念なことに、私にはまったく響きませんでした。(笑)
でも、売れているんですね。多くの人が読んでいます。
そんな私にも一つだけ、共感したところがありました。
"どんなに素晴らしいノウハウでも、日常生活で使えるものでないと意味がありません"
たしかに、実際に実践できる内容でなければ、「読んで終わり」になってしまいます。
でも、「使えるもの」を意識している本は「ハードルが低め」なことも多いので、そんなに気張らなくても大丈夫そうですよ。
Let’s try!
➋実践してみたよ~コミュニケーションの3大原則と拡張話法
私の「グッと」きたところ、"コミュニケーションを制すれば、人間関係を制す"
本書のテクニック的な部分に関しては、何かで読んだことがある話も……。聞いたことがあるような、ないような……。
しかし、「コミュニケーションの3大原則」は、ズバリ、そのとおり! スーッと入ってきましたよ! 自分にも当てはまりました。(笑)
「コミュニケーションの3大原則」
➊人は自分のことがいちばん大切でいちばん興味がある
➋人は自分のことをわかってほしい生き物
➌人は自分をわかってくれる人に好意を持つ
こう言われると、世の中のほとんどが感情で動いていることが、なんとなくおわかりいただけると思います。
すなわち、「コミュニケーションを制すれば人間関係を制す」ということにもなるわけですが、結局は、「好き・嫌い」がすべてなんですね。
たしかに、ニュースでも新聞でも、会社生活でも、「好き・嫌い」が毎日たくさん出てますよね。(笑)
ですから、大事なのは、「正しい話」ではなく「好かれる話」をすること。
上手に話せなくても、流暢じゃなくても、これなら大丈夫な気がします。
これって、すごく使えそうじゃないですか?
私の「すぐに使えた」テクニック、"相手に9割しゃべらせる「拡張話法」"の応用術
本書で紹介されている「拡張話法」ですが、じつは、メールや会議で、コッソリ使っています!
ポイントは以下の五つですが、そのまま使ってはダメですよ! ちゃんと考えて応用しましょう!
「拡張話法」
➊感嘆 ⇒ 語尾に絵文字をつけるように感情を込める、語尾を伸ばす(へぇー♪、うわぁー‼︎)
➋反復 ⇒ 相手の話を繰り返す(「ジョギング、始めたんだ」「へぇー、ジョギングいいね!」)
➌共感 ⇒ 感情を込めて理解を示す(「たいへんでしたね」「わかります」)
➍称賛 ⇒ 相手を評価する(「すごい!」「さすがだね!」)
➎質問 ⇒ 相手の話を中心に、その後を追いかけて聞く(「それで、それで?」「それからどうなったの?」)
要は、相手に9割しゃべらせることが肝だというわけですが、じつは、この「拡張話法」の話を読んで私の頭に浮かんだ人は、㈱ディー・エヌ・エーの南場智子会長です。最近、テレビに出られていたのを偶然視聴しましたが、改めて聞き上手だなぁ、と勉強になりました。
ちなみに、本書のいちばん最後には、「話し方が100%うまくなる究極のスキル」=心得が書かれています。
"相手の気持ちを考えて話をしよう"
"もし自分がこの人の立場だったらどうするだろう? もしこの人が目の前にいたらどんな声をかけるだろう? と練習する"
"誰かと何かを話す時は、「(相手の方が)幸せでありますように」と祈りながら話す"
理不尽なことも多い世の中ですが、思いやりを持って、頑張っていきましょう!
★おまけ★最近読んでいる本
『私のウォルマート商法 すべて小さく考えよ』サム・ウォルトン(「ウォルマート」創業者)著/渥美俊一+桜井多恵子・監訳(講談社+α文庫)
"お客様はすべて正しい"。どこかで聞いたこと、ありませんか?
サムがつねづね言っていたこの言葉は、"販売は売り手が起点、マーケティングは顧客が起点"という原則につながっていたり、いまでも十分に通用します。
ユニクロやワークマン、アマゾンに興味がある人は、ぜひ読んでみては?