福島にて、あのときの微かな夢を叶えた日。
「あの緑と赤の新幹線、かっこいい!」
高校1年生の冬、東京駅のホームに佇む連結した緑の新幹線と赤の新幹線を見たとき、いつか、この新幹線に乗ると決めた。
そんな、
私の心の片隅に眠る微かな夢を叶えた日。
春風といわき
福島県内に一時的に滞在している友人に会いに、向かったいわき。
あまり、調べずに向かったためまずはその街の大きさに驚いた。
最近、赴いた街たちがコンパクトだった影響もきっとある。
いわき駅から小名浜港まで約1時間バスに揺られる。
窓に流れる知らない風景がなんだか知っているものに感じられた。
高校時代の多くの景色をともにした友人が隣にいたからなのかな。
小名浜の海岸沿いは2月とは思えないような温かい海風が吹いていた。
ちょっと坂をのぼったところにあるいわきマリンタワーから眺めたいわきの港は赤と青と黄色が印象的だった。
郡山と食
いわきからゆらゆらと高速バスで郡山へ。
栄えている街だけれど、時の流れがゆっくりと感じられる。
友人がいてくれたから、勇気をだしてふらっと立ち寄ってみた居酒屋。
慣習が分からず、ふたりでどぎまぎしながら注文した。
そんな私たちをよそに、青い服を着たなまりの強いお団子ヘアーの女性が、私の荷物をもって「こんなに重い荷物もってるの~すごいねえ~」と笑い飛ばした。
ぷりっとふわっとしたあんこう鍋。
鯛のはずが金目鯛。
シュワっとした檸檬サワー。
飲んでないけど有名らしい十四代という日本酒。
20歳のぷち冒険だった。
それから、郡山のソウルフード、酪王カフェ・オレとクリームボックス。
鳩にクルクルと喉を鳴らされながら食べた。
東北新幹線
今回の大きな目的のひとつ。
あの緑の新幹線に乗ること。
あれが東北新幹線だと知ったのは少しあとのことだった。
友人と郡山駅で別れ、ひとりでホームに立つ。
そこで圧倒的なひとのやさしさを見た。
人間の世界ってやっぱりまだ、温かいのかもしれない。
東北新幹線はかっこいいね。
感謝。
環境が変われば、悩みの種も思考回路も変わる。
揺るがないものはほとんど、ない。
実際、彼女に出会ったばかりの私と今の私は全く違う。
だけど、前に突き進む私もとんでもない負の境地にいる私も知ったうえで、
「わたし」が温かい世界で生きることを願ってくれる。
「わたし」が楽しそうにしている姿を喜んでくれる。
感謝でしかないんだ。
10年後、お互い何してるかな。
正直さ、笑えていればなんでもいいよ。
何をしていても、
「わたし」の幸せを願ってくれる友人に、
応援されるようなひとでありたいんだ。