生きた言葉に生かされて【エッセイ】
この記事について
この記事は、
読書が趣味のWebライター・城本みちるの書いたエッセイです。
読書について
文学について
話し言葉と書き言葉の感じ方
若者たちの言葉と文学の言葉の比較
言葉に生かされて
などが書かれています。よろしければぜひ、お読みくださると嬉しいです。
言葉ってなんだろう
暖かい日差しにまどろみながら、
二度三度とあなたの言葉を繰り返して、刻み込む。
何が私を生かしているのだろう。
それは様々な事柄が絡み合って、
今ここに生きているのだろうということはわかります。
そのなかでも、一つ、大きな栄養として言葉が私を生かしている。
そのように思うのです。
あまりにも温かい言葉に触れたとき、
私は何度も何度も繰り返し味わってみます。
その度に訪れる大きな幸せに抱かれて、
小さな人間の身体を駆け巡る生命の歓びが湧きあがります。
けっして大げさではなくて、
あなたの言葉が私を生かしているような気がします。
だから私は、言葉を紡げるようになりたい。暖かい、美しい言葉を。
人の心を動かしていく言葉は、すごい力をもっている。
話し言葉と書き言葉
先ほど記したように、話し言葉に励まされる日も多いです。
しかしながら、書き言葉のほうが言葉にぐっと深みがでる気がします。
ずっと昔の本を読めば、
ずっと昔から伝えられてきた世界がそこに開かれる。
それは、あまりに当たり前とされているけれど、
あまりに有難いことだと思います。
たとえば、『源氏物語』が大好きな私にとって、本の世界に入っていけば
約千年も前の人と心を重ねられるのはとても有難いのです。
〈有ること〉が〈難しい〉=〈難い〉から〈有難い〉とは
どこかで聞いてから忘れられない言葉です。
若者たちの言葉と文学の言葉
若者たちは、省略された現代らしい言葉を流行に沿って使います。
けれども、それで十分に心の中が伝えられるのでしょうか?
日々のコミュニケーションの言葉と文学の言葉には開きがあるように感じるのです。
ただ、その違いをはっきりと言語化することは私にはまだ難しくて、
これからの大きな課題だと思っています。
文学が好きな理由
私は、文学が好きです。
それは、現実では使わないような表現がそこにはあるから。
そう、そこには現実にない世界があるから。
そして、現実にはない世界がなぜか、
現実で生きるための力を育んでくれるから。
だから、文学が好きです。
日常会話だけでは、真の言葉の力を発揮できないように思います。
書き言葉だからできる表現は、文学の醍醐味だと思います。
生きた言葉に生かされて
生きた言葉は、
果てることなく時代を超えて私たちのもとへたどり着きます。
それを摂取することなく見過ごしてしまったら
なんだか惜しい気持ちになります。
いくら読んでも尽きることなく文はあります。
生きた言葉に生かされて。私は、まどろみつづけています。
城本みちる