見出し画像

#55 賞味期限のあるプラモデル・シェフレピでフレンチ仕込みのカジャセット作りを体験した

秋の連休に、シェフレピのカジャセット作りにがっつりと取り組んだ。2日間に分けてだが、6-7時間はかかったと思う。ひとつひとつの料理自体はそこまで大変ではないのだが品数が多い上にレシピ動画やコンテンツが充実しているから、ちゃんと取り組むとなるとそれなりの覚悟がいる。

シェフレピは、レシピだけでは再現できないようなプロの料理が動画のレシピ付きでがっつり学べて、テクニックや知識も手に入る至れり尽くせりのミールキットサービスだ。

別にシェフレピの回し者ではない。9月はアジア料理特集だったためにどんなものか大変気になっており、結局フリーランス料理人のh.b.さんのカジャセットを試してみたのだ。h.b.さんはフレンチの料理人なのだがネパール料理にハマっているらしい。(以前間借りにお邪魔した後新大久保でなぜかばったり出会い、一緒にダルバートを食べた。)


カジャセットをつくる

画像1

カジャについてはこちらの記事が詳しいが、ネパールの軽食のことである。ネパールでは白いご飯を中心としたちゃんとした食事はカナ(いわゆるダルバート)と呼ばれるが、それ以外の軽食は全てカジャと呼ばれる。お酒のおつまみになることも多く、干飯のチウラを中心に数品のおかずで構成されることが多い。

シェフレピを頼むと、指定した日に箱に入った食材キットが届く。賞味期限があるので、余裕をもってとりかかれる日程を指定しておかないと大変なことになるだろう。


箱を開けると、塩と油と水以外、全ての食材が入っている。なにかを思い出すと思ったら、昔ハマったプラモデルっぽい。

画像2

絶対に大変だろうなと思う細かさで全ての食材が丁寧に梱包され、全てに記号がつけられている。ビニールゴミが大量に出てしまうのもプラモデルっぽいが、この辺は少しなんとかならないだろうか。スパイスなどはほとんど計量してあるので便利だった。、

画像3

丁寧な写真付きのレシピに加えて購入者限定でレシピ動画が見られるため、シェフの調理風景や文章では伝わらないポイントなどが学びとして得られて、大変参考になる。品数が多いので動画をしっかり見ながら作っているとかなり時間がかかる。


グンドゥルック・コ・タルカリ

以前、自分で乾燥させて干したグンドゥルックが半年以上干しっぱなしの状況のままで牧草のような香りが漂っている。。アブラナ科の野菜を叩いて干して、水に漬けて発酵させてさらに干したもので野沢菜のような風味がする。

スープにしたりすると発酵感のあるよい出汁がでておいしい。巣鴨のプルジャダイニングのグンドゥルック・コ・ジョルがおいしいんだよな。

その出汁感を最大限に活かすため、このレシピでは戻し汁を少しとっておいて炒めるときに加えている。

画像5

画像6

画像4


仔羊のハクチョエラ

脂肪の表面に包丁で格子状に切れ目を入れてから強火で焼き付け、一晩マリネする。

画像7

画像8

それをジップロックに入れて湯煎し、牧草でいぶして香りをつける。これはなかなか家ではできない体験だった。

せっかくなのでインド鍋で燻製した。

画像9

画像10

ただ、レシピどおりにやったつもりだったが少し火の通りが甘くなってしまった。肉の火入れはほんとにレシピで伝わらない、職人の暗黙知の領域なのかもしれない。


アルコタルカリ

じゃがいものスパイス炒め煮。じゃがいもの角が取れるくらい長めに加熱して仕上げた。

画像11

画像12



バトマスサデコ

ネパール料理店ではよく大豆を揚げて野菜と和えてマスタードオイルを絡めたバトマスサデコが出されるが、大豆が固くてたまに負けそうになる。

これは黒大豆を一晩浸水してからよく油で加熱することで食べやすくなっていた。

画像13

画像14

画像15


バラ

バラづくりは、ジンブーから枝を取り除くところから始まる。油で加熱したジンブーを浸水したウラドダルに混ぜ、ミキサーにかけて生地にする。それを焼いたら豆のお好み焼き、バラができる。

画像16

画像17

画像18

画像19


ダーニャパッタとミント、馬告のアチャール

レシピにはすり鉢とすりこぎが指定してあったが、我が家にはすりこぎがない。仕方がないのでシルバッタですりつぶした。マーガオは台湾のスパイスでネパールでは使わなさそうだけど、このへんはシェフのオリジナルテイストが入っている。

画像20

画像21

画像22



完成形と感想

サーグの工程写真を撮り忘れていた。チウラを真ん中に、料理を盛り付けて完成。

画像23

画像24

ハクチョエラ以外は昨年ネパール月間のときに一度は作ったものだったが、やはりプロの技というのはすごくて、きちんと考えられたレシピで食材もしっかり用意されている状況というのは大変にありがたい。

どのレシピも材料がグラム単位で指定されている上、仕上がり判断は自分ではなくシェフのものになるべく従うことになるのでいつもの自分の味とはちがったものになっていた。というか、そうでなければレシピの意味ってあまりない気がするな。

2人前といいつつ料理によっては結構量がたくさんあったので余ってしまったが、家にチウラがたくさんあったのでちょうどよかった。

シェフレピはかなり単価が高くて、しかもブツが届いたら2日以内くらいには料理にとりかからなくてはならないため、単なる料理好きよりももう少しマニアックな方におすすめしたいサービスだ。

ただ、取り組んだだけ身になるものは確実にあったと思う。








いただいたサポートは全てカレーの材料費と東京マサラ部の運営資金となります。スキやSNSでのシェアもお願いします。 インド料理やカレーの本を出したいです。企画案がたくさんあるので、出版関係の方、ぜひご連絡ください。