【購読者限定記事】玉ねぎについて考える、玉ねぎ論文の紹介
カレー作りを考える上で、玉ねぎを考えることは避けては通れないことだ。
東京マサラ部メンバーと、月に一度waccaさんのところで「カレーのカガク」と称してカレーにまつわる実験を続けて行っている。
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カレーに影響を及ぼす変数は多い。突き詰めて考えていけば、スパイスのことや肉のことなど、終わりが本当に見えないのだ。考えたいトピックはいくらでもあるのだが、まずは基本ということで玉ねぎの実験を立て続けに三回に分けて行った。
いま、第一回と第二回を振り返りながら三回分の実験をまとめ直す作業にとりかかっている。合わせて、玉ねぎについて調べているときに参照した論文も見直しているのだが、ややマニアックな内容になるため購読者限定記事として公開したいと思う。
全て目を通したわけではないのだが、秋の夜長に、興味のあるものからちらっと見てみても面白いかも知れない。カレー作りに実際に役に立つかどうかは置いといて。
長時間炒めたタマネギの味,香り,遊離糖,色の変化
一番カレー作りに役立ちそうなのはこれ。褐色になるまで長時間炒めた玉ねぎの性状の変化についての報告。
炒め玉ねぎの重量は最初の5分間で最も急激に減少し、その後も現象を続けるが、炒め時間が40分を超えて元の玉ねぎの20%程度の重量になるとその減少は緩やかになる。
炒め始めて5~10分で玉ねぎの刺激が消失し甘みが感じられるようになる。炒め時間25分からは酸味も感じられるようになる。60分以上炒めると苦味が生じる。
玉ねぎの色が褐色に変化するまで炒めると、遊離糖総量が減少した。
炒め時間の異なる玉ねぎでスープを作ると材料となる炒め玉ねぎとは味や香りの感じ方が異なり、おいしいオニオンスープを作る場合には「香ばしい」レベルを通り越して「焦げ臭」を感じ始めるまで炒めたほうがいい香りのオニオンスープになる。
炒め玉ねぎやスープの糖含有量と官能評価による甘みの強さは一致しない。酸味を感じるタイミングやフレーバーによって感じ方に影響が出る。
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