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音楽ストリーミングで5つのストアにしか配信していない理由|感情論のマーケティング戦略
24/12/14追記
結構前にこんな記事
を書きました。中々の反応をいただき驚いております……!
Distrokidは日本国内ストアへの配信が弱かったり、全世界でもTuneCoreほど多くのストアへ配信できなかったりするのですが、そのことについて書いていませんでした。
この記事では、配信可能ストアが少ないけれどもDistrokidを使っている理由、そしてその中で更に5つのストアに絞って配信している理由をご紹介します。
僕は全て一人で行なっている孤高のミュージシャン(自分で言うスタイル)で好き放題活動できるため、このスタイルに落ち着きました。
大規模でゴリゴリにマーケティング展開していきたい方、バンドなど複数メンバーで活動されている方には、もしかしたら当てはまらない内容かもしれません。
こんな意見もあるんだな〜、程度に見ていただければと思いまっすd( ̄  ̄)
5個しか使っていない理由
Distrokidでは以下のストア
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に配信することが可能ですが、僕は
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Spotify
Apple Music
iTunes
Amazon Music
YouTube Music
の5つにしか配信していません。
あとは、YouTubeへのアップロード。
結論を端的に言うと、
この5つのストアが好きで、あとはそんな好きじゃない
からです。
……まじです。ただの感情論。
…
……
流石にこれだけで終わると意味がわからないので、どうしてこう思うに至ったかを説明します。
僕は音楽業界のことを全然知りませんし、裏側、大人の事情、ダークサイド、利害関係など、あらゆることにも忖度しません。
で、まがりなりにも2年ほど音楽活動(ただネットに置いてるだけだけど)を続けた中で思ったのは、「こんなに音楽配信サービスいらなくね……?」ということです。
サービス選別のため
あまりに数が多すぎると人間は認識できなくなるし管理できなくなるので、ちょうど片手で数えることのできる5つがしっくりくるなぁ、と。
シーナアイエンガー氏の超有名なジャム理論のように(あれは店が客に向けたものだけど)。
BIG UP!をはじめとする各ストリーミングサービスの謳い文句は「世界184カ国(地域)、40以上のストアへ一斉配信」らしいですけど、「あの、184カ国に配信する必要ないし、40もストアいらなくないすか……?」と思うのです。
だって、曲自体は全て完全に同じデータなわけで(Spotifyの上限は320kbpsでYT Musicは256kbpsといった違いはあるけれど)、極論どれか一つのサービスで聴ければいいじゃないですか。それこそひと昔前はCDしか家庭で音楽を聴く手段はなかったように。
例えば僕は全ての音楽をSpotifyで聴いているので、SpotifyがCDのようなものです。
で、独占状態になると市場はうまく機能しなくなるし、寡占も問題だし、そして多すぎても問題である。じゃあ、5個がちょうど良いのではないか?と思ったわけです。まぁ5個といってもApple MusicとiTunesはどちらもApple Incが運営しているため実質4社なのですが。
で、なぜのこの5つのストアにしたかというと、
YouTube Music (Google, Alphabet)→まず潰れない,いつも使ってる、業界3位
Apple Musicと&iTunes(Apple)→まず潰れない,いつも使ってる,業界2位
Amazon Music(Amazon)→まず潰れない,いつも買い物してる,業界4位
Spotify(Spotify Technology)→業界最大手,いつも使ってる
といった理由から。業界何位のデータは出所により異なりますが、日本国内+全世界を平均すると大体こんな感じです。
あとは、単純にこれら企業が好きだから笑 好きだと事業についてもある程度把握しているし、安心感があります。
株式投資をする際に、「儲かりそうだけど、どんな事業をやっているかよくわからない海外の企業」よりも、「あまり儲からないかもしれないけれど、どんな事業内容なのかが明確に分かる日本国内の会社」に投資した方が安心できることと同じだと思っています。
で、もしこれら5つのサービスをどれも使っていない人がいたとしても、僕は全ての楽曲をYouTubeに上げているので、そこで聴いていただければ解決なのです。
音楽業界の未来のために(?)
ところで僕はTikTokをやっていません。今後やる予定は一切ありません。
はっきり言って嫌いだからです。
確かに宣伝効果はあるかもしれませんが、好きでもないものをやって自分にストレスを与えるくらいなら、多少のアクセスを損失計上してでも使わない方が日々を穏やかに過ごせるから。
「TikTokで若者に人気のアーティスト、philosofy!」とか紹介されても嫌だ。全く嬉しくない。そんな紹介されるくらいなら無名のままでいい。
アーティスト側(弱小マンですが、デカい主語で失礼しやす)も、世界情勢や企業資本、利害関係、市場のことをもっと真剣に考える必要があるのではないか、と思うのですよね。
詳しいことは消されたくないので書きません。僕が使っているサービスの資本国、使っていないサービスの資本国、そしてこの記事に書いてある文章からなんとなく察してください。
「自分たちの曲をとにかく聴いて欲しい!」と闇雲に全てのストアに配信していても、それは果たして音楽業界全体や、民主主義を守ることに繋がるのか?と。
アーティストは芸術と資本主義という、ある種真っ向から対立しているものを二つ扱っているわけで、その辺はしっかり自覚を持たないといけないのではないか?と思うわけです。
自分で強く意識して選択していかないと、他者の意のままになってしまうじゃないですか。
日本企業にもうちょっと頑張って欲しかったけど……
楽天Music、dミュージック、auスマートパスプレミアムミュージックとかにも配信した方がいいのだろうなぁと思っているのですが、しかしこれらはSpotifyやApple Musicと比べるとだいぶ下火だし、いつまでサービスが継続されていくのかわかりません。
なので初めから使わないことにしました(だからDistrokidを使う選択をとれた)。
すでに音楽ストリーミング業はもうSpotifyとApple Musicが不動のものとなっているし、サービスを考えるにしてもバンドルで安くするとかしかマーケティング手法がないと思うので、もう新規参入して既存の体制を覆すのは無理だと思っています。
悲しいかな……
他に考えたりしたこと
以前ニコニコでもYouTubeと同じものをアップロードしていたことがあったのですが、結局全部削除してアカウントも消しました。ニコニコ好き勢には悪いのですが、YouTubeより優れている点がわからない……
Bandcampに配信していたこともありますが、それも全て消しました。これも別にiTunesでよくないか、と思ったため。そしてわざわざ個別にここへアップロードするのが面倒ということもありました。Distrokidなら各サイトにチェックマークを入れるだけで自動的に配信されます。
noteで音楽ファイルを有料販売していたこともありましたが、同様の理由でやめました。
Audio Stockで売ることも考えましたが(売るクオリティじゃないとか言わないで……)、これもなんか違うのでやめることに。
普段のリスニング用に使ったことがある音楽ストリーミングサービス、ダウンロードサービスは、
Spotify Premium(今も使ってる)
YouTube Music Premium
Line Music Premium
Mora
です。
そしてDistrokidでの配信にあたり、各ストアは一応検索してある程度の情報は得ています。
その上で、今回の結論となりました。
自分の楽曲は本当に大切だから
だって、魂込めて作った自分の楽曲、それは本当に本当に大切なものなわけですよ。
それをよくわからない企業に軽い気持ちでポンと預けることなんかしたくない。絶対に嫌だ。
ちょっと話は違いますけど、自作曲を簡単に「フリーBGM」「著作権フリー楽曲」といってYouTubeに載せている人がいますよね。
あれ、「よくやるなぁ…(汗)」といつも思います。
そんな雑に、大切な楽曲を野に放って大丈夫なのでしょうか。しかもAIでいくらでも高クオリティな音楽が、誰でも数回のクリックで生成できる昨今。著作権フリーのものまであります。
それと同じフィールドに、手塩にかけたものを簡単に手放すことは僕にはできません。「サブマシンガンで武装した機械兵 vs 短剣一本片手に持った生身の人間」のように感じてならないのです。
僕も実際、実行しようとしたことはあります。確かに「フリー楽曲」といった文言をつけてある程度の権利を放棄すれば一定の需要があるし、一気に伸びることもある。
でも、それは手放しに喜べそうになくて。自分の価値を自ら下げていることになる気がしてならないというか。もちろん、丁寧に扱ってくれる人もいるでしょう。でも、全員が全員そうではないわけで。
自分がその曲を作った時に思い描いたシーンに全く合わない使い方をされてしまうかもしれない。それが嫌なのです。
そんなこんなで、アクセスを稼ぐことに執着せず、ゆっくり時間をかけて知ってもらえればな、と今は思っております。
……
商品やサービスの価格を下げると比例して客の質、民度が下がるように、楽曲視聴や利用の敷居を下げれば確かに裾野や認知は広がるだろうけど、何か大切なものを失ってしまうかもしれません。
音楽は絶大な力を持っているからこそ、取り扱いは慎重に。
社会や人生は、いつだってトレードオフの関係性。
そんなことを思っているよ、という話でした。
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