ICT機器の選び方(中高生向け・2021年春版)
はじめに
中学・高校の入学が決まって、パソコンやタブレットなどのICT機器を選ばなくてはならないお宅もあるかと思います。学校から指定があれば良いのですが、BYOD(Bring Your Own Device)の場合は困ってしまいますよね。そこで、私が使ってみた感想を踏まえて、それぞれのデバイスの善し悪しを書いていきたいと思います。
1 iPad
タブレットならこれ一択です。正直iPadがあれば、Androidタブレット、Windowsタブレットを買う必要はありません。使いやすさ、堅牢性は一番ですし、画面のきれいさは圧倒的です。学習用のソフトや、音楽、画像、動画、マンガなど、「創造するためのソフト」も充実しています。Apple Pencilの筆圧感知は超強力ですね。これ一枚で、勉強、創造、読書、遊びなどいろいろな用途に使うことができますし、「もう一枚情報を提示するディスプレイ」としても優秀です。ICT機器を使って作業する場合は、ディスプレイが2枚、できればそれ以上あると、圧倒的に効率が高まりますから。ですからノートパソコンを買った場合でも、iPadを持っておくと良いと思います。
マイナス点はペンシルまで買うと結構いい値段になること、キーボードを常用しないので、別の方法でキーボードリテラシーを高める必要があること、ぐらいかと思います。
2 Windowsノートパソコン
ノートパソコンが指定されているなら、Windowsのものが一番無難です。Word、Excelがフルで使えますし、ZoomやTeamsもフル機能のものが使えます。ブラウザ経由でGoogleやiPadの教育ソフトも使えます。なんといっても重要なのは、「創造するためのソフト」が揃っていることです。動画配信をしたりマンガが描きたいという場合は、Windowsがもっとも良いでしょう。とにかく汎用性が高いのが最大の魅力です。
一方Windowsのデメリットは、まずセキュリティ対策を取らなければならないところです。Windowsは使用者が多いため、ウイルスやマルウェアの攻撃を受けやすいです。パソコンのウイルス対策を万全にするだけでなく、危ないところに近づかない、変なリンクを踏んでしまった後の対応など、安全な使い方を学ぶ必要もあります(コンピュータの操作方法やリテラシーを身につけやすいということでもありますが)。次に、様々なソフトをインストールできるので、不要なソフトがインストールされてしまいやすいという点があります。若者のWindowsパソコンの世話をしたことがありますが、出るわ出るわ、必要のないZipファイルの解凍ソフトや、意味のないユーティリティソフトなどがたくさんインストールされているのですね。これはソフトをインストールする際に、何も確認しないで「OK」を押しているために、付属しているアドウェアがインストールされてしまっているのです。これらのアドウェアの多くは、Windowsの標準の機能を阻害するものもあり、厄介なものが多いです。
このようにWindowsは、管理という面ではちょっと面倒(身につけなければならないリテラシーが多い)です。
Windowsノートを選ぶ際の基準を書いておきましょう。
・重さは1㎏程度、できれば1㎏を下回るもの
・CPUはi3以上、またはRyzen (kakaku.comの「CPUスコア」が3000以上が目安です。Celeronは避けた方が良いでしょう)
・メモリは8GB以上。4GBでもなんとか動きますが、何かを創造したい場合は8GBがスタートです。
・ストレージは256GB以上
重さが決定的に重要です! 1㎏程度だと気軽に持ち運んで使うことができますし、学校への持ち運びも楽です。
国内メーカーだと10万円くらいになるでしょうか。7万円程度のものもあります。Chromebookよりは高いですが、いいものを買っておけば長く使えます。故障したときに備えて、サポートがしっかりしている会社のものを選ぶと良いでしょう。
あとWord、Excelの有無については、学校の情報環境を確認する必要があります。学校がMicrosoft365に入っている場合は、無料でWord、Excelが使えることが多いです。
私が今一番欲しいWindowsマシンは、LGのUltraですね。重さは1kgを切り、CPUはインテルよりも強力なAMDのRyzenです。クリエイティブな作業にはちょっと足りませんが、学校では非常に威力を発揮すると思います。
3 Mac
Macのメリットは、「創造するためのソフト」が揃っているところにあります。またWord、Excelは、微妙な違いはありますが、ほぼWindowsと同じ機能が使えます。仕事にも創造にも、マルチに使えるマシンといえるでしょう。
ただ現在は、CPUが変わっている最中です。M1機はこれからもっと機能の高い機種が出そうですし、intel機はもう旧式になるのが確定しています。また重量が重いのもマイナス点です。もっとも軽いMacBookAirでも1.2kgあり、それ以下の機種はありません。
学校指定でない限りは、現状は「待ち」が正解でしょう。学校がMacを指定しているなら、M1機一択です。
4 Chromebook
最近Chromebookが注目されていますね。CMも流れていますし、量販店でも多く売られるようになってきています。
Chromebookのメリットは次の通りです。
(1)起動が速い
(2)ブラウザを使ったサービス、AndroidアプリがあるサービスはWindowsと同様に使える
(3)同等のWindowsマシンに比べて値段が安く、ローエンドの機種でもそれなりに使える
(4)アプリやセキュリティの管理が楽
特に便利なのは(1)です。ちょっと開いた瞬間に画面が点灯しているため、すぐ仕事に入れます。また(2)については、WordもExcelもMobile版、Online版なら問題なく使えますし、TeamsもZoomもDiscordも制限はありますが使えます。学習用ソフトもGoogle for Educationなどが動きます。「安く、使えるマシン」であるのは間違いありません。
ただ、Chromebookにはいろいろ問題点もあります。
(1)ソフトの多くが機能縮小版
WordもExcelもZoomも、現状では機能縮小版です。Zoomはチャットでファイルが受け取れないなど、結構深刻な問題もあります。WordやExcelの代わりに、Google Workspaceがありますが、これも現状では、WordやExcelを完全に置き換えるには至りません。Googleドキュメントは文字数・行数の設定ができません。Googleワークシートは関数が微妙に異なります。詳しくはこちらをご覧ください。
(2)高速ネット接続が前提
クラウドサービスを使うことが前提になっているので、ネット回線が遅いところでは、動作も遅くなります。作業を行なう場(特に自宅)に、常時接続の高速ネット回線が通っていないと、真価は発揮できません。
(3)「創造のためのソフト」が揃っていない
現状では、音楽、画像、動画などを創造するためのソフトは、まだ揃っていません。ブラウザを使ったサービスで代替できるものも多いですが、すぐに創造に使いたい場合や、プロ仕様のソフトが使いたい場合は、Windows、Mac、iPadを選ぶべきでしょう。
パソコンの使用目的が、ちょっとした文書を作る、メールを見る、Webを見るといったものであれば、Chromebookで十分でしょう。一方、プロ仕様のソフトが使いたい、本格的に創造に使いたいと考えるなら、最初からWindowsやMacを選ぶべきです。
私の個人的な感想ですが、1台目のパソコンとしては、もう数万円足せばそれなりの性能のWindowsマシンが買えるので、Windowsの方をオススメします(将来の拡張性が格段に違います)。軽作業用のサブマシンとして、安いChromebookを買うのは大いにアリだと思います。
まとめ
・iPadは、学校で使う使わないにかかわらず、1枚持っておくとよいでしょう。
・Windowsは一番無難です。創造にも使えるのが強みです。ただしセキュリティ対策などの管理は多少めんどうです。
・Chromebookは、割り切って使えばかなり使えます。通信速度に依存する、創造ソフトが少ないという弱点は認識しておく必要があります。1台目としてはあまりオススメしません。
・Macは今は明らかに待ちです。2021年中盤から後半が買い時でしょう。
あと、どの機械にも共通しますが、キーボードが取り外せるタイプのものは、キーボードがぺらぺらのもの(Surfaceなど)は避けたほうがよいと思います。電車の中では使えませんし、寝っ転がって使えませんから。キーボードがしっかりしているものを選ぶと良いと思います。
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