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アリストテレスの哲学(2)

アリストテレスは、感情が十分に陶冶されていない者は、まだ彼の「倫理学」の講義を聴くにはふさわしくない、といった逆説めいた言い方をしている。(P.51)
これは有名な言い方ですが、若い頃はどうも意味がわかりませんでした。

「人間にかかわる事柄の哲学」は、短絡的に解釈してしまうと危険なことになります。例えば、ニーチェの「反キリスト」論は、ナチのイデオロギーに悪用されました。鉤十字(ハーケンクロイツ)は、アンチクリストの表明ですね。ヒトラーユーゲントやゲシュタポが、ニーチェ哲学を読んでいたのか否かは知りませんが、ドイツ語で書かれているのですから読めないことはないでしよう。
感情が十分に陶冶されていない人は、短絡的に読んでしまう危険性がありますね。

「人間にかかわる事柄の哲学」(倫理学・政治学) (P.39)
「he peri ta anthropeia philosophia」(Eth. Nic., 1181 b15) (和辻哲郎『人間の学としての倫理学』岩波文庫 P.54)