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夕日に染まる城壁の街で、フランス風焼肉を味わう

秋の夕陽が城壁を赤く染める中、13世紀の城壁を一周して、へとへとになった私たち。

「そろそろ夕ご飯にしない?」とエーグモルトの城壁内をぶらぶら歩いていると、

レストラン『Le Galion』が目に入りました。

黄昏時のほの暗い通りに、店の温かな明かりが漏れています。

看板を見ると、どうやら開店したばかりのよう。

入口で「ボンジュール!」と笑顔で迎えてくれるお店の人の雰囲気も良くて、

夫の「ここ、いいんじゃない?Pierradeも美味しそうだし」という提案で、店内に入ることにしました。

メニューには『Nous Pierrade de viande』や『Nous Pierrade de poissons』と書かれているのですが、写真も説明もなく、お肉の種類だけが並んでいます。

Pierradeって一体何だろう?

「絶対、君が好きだよ。日本でもよく食べたよ、こういうの」と夫が言うので、彼の言葉を信じてコースメニューのメインを

Pierrade de Galion というこのお店の名前のついたPierrade

夫と同じものを注文することに。

まず運ばれてきたのは、カマルグ産のお米で作られたビール。

一日の疲れを癒す冷たい泡がたまらなく美味しい。

そんなため息を漏らしているうちに、待っていると、前菜のサラダが運ばれてきました。

そして次は待っていました。 

メインの「Pierrade」が運ばれてきました。そこで目にしたのは、なんと熱々の石板!

鴨肉・牛肉・鶏肉 の3種類

実はフランスのスーパーでは薄切り肉なんてほとんど見かけません。

家で食べたい時は自分で切るしかないほどで、見つかるのは本当に稀。

これは…「焼肉だ!」と、

石板の上でジュージューと音を立てて焼かれるお肉に大興奮。

バゲットも美味しい!

窓の外で秋の日が沈みゆく中、夫もにっこりと満足げです。

さらに、付け合わせの4種のソースも驚きの一品ぞろい。

粒マスタードの効いたディジョンソース、ハーブが香るプロヴァンスソース、にんにくたっぷりのアイオリ、赤ワインをベースにした秘伝のソースが並びます。

4種のソースで味変を楽しむ!

これがまた、それぞれに絶品。焼き上がったお肉につけて、にんにくが効いたグラタン風ポテトと一緒に食べると、もう至福のひとときです。

日本の焼肉は醤油ベースのタレで、ご飯と一緒に食べたいけどこの4種のソースにはグラタンが合うよね。

似ているけれど違う。違うけれど似ている。

食文化の面白さと、どこかで繋がる味覚の不思議を感じながらデザートを味わう。

沈む夕陽を眺めながら、違う国の料理なのにどこか懐かしい味わいに心が温かくなって。

南フランスの秋の夕暮れは、私たちの前で静かにその色を深めていきました。

お店を出る頃には、すっかり日が沈み真っ暗になっていた。


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