バカにできない ねこさん・わんちゃんの肥満 その1 ポッチャリ体型だと長生きできない!?
はじめに
前回の記事で、「冬にはねこさん・わんちゃんが太りやすくなる」こと、「太ってしまうと下部尿路疾患などの病気になりやすい」こと、などについて解説しました。
でも、太ってしまったねこさん・わんちゃんがなりやすくなる病気は下部尿路疾患だけではありません。
ですから、できる限り、ねこさん・わんちゃんを太らせないように、普段から適切な体重をキープできるようにしてあげてください。
そうは言っても食いしん坊なねこさん・わんちゃんもいますし、適切な体重をキープするのは簡単ではありません。
そこで今回から、ねこさん・わんちゃんの肥満について解説します。
今回はねこさん・わんちゃんの肥満シリーズ第1回として、「ねこさん・わんちゃんが肥満になると何がいけないのか」、「そもそも肥満とはどういう状態を指すのか」についてお話します。
■ポッチャリ体型だと長生きできない
ねこさん・わんちゃんが肥満になってしまうと、下部尿路疾患に限らず、いろいろな病気になるリスクが高くなります。
それどころか、肥満とまではいかないポッチャリ体型になっただけでも長生きできないことが研究でわかっています。
これから、その研究の内容をかいつまんで紹介します。
48頭のラブラドールレトリバーさんの子犬を、同じお母さんから同時に生まれたことなど、条件を合わせて24組のペアを作って、24頭ずつの2つのグループ(グループA、グループBとします*)に分け、生後8週齢からフードを与えます。
そして、グループAとグループBでは、違うフードの与え方をします。
グループA:欲しがるだけフードを与える
グループB:ペアの子犬が食べた量の75%分のフードを与える
わんちゃんたちが3歳3カ月齢になった時に、フードについて2つの変更を加えました。
子犬用のフードから成犬用のフードに変更
グループAのわんちゃんたちが肥満にならないように、与えるフードの量を調整し、グループBわんちゃんたちには、ペアのわんちゃんが食べる量の75%分のフードを与える(フードを少なくする割合は変更なし)
そして、その後すべてのわんちゃんが寿命を迎えるまで観察を続けました。さて、どんな結果になったでしょうか?
まず、2つのグループのわんちゃんたちの体重の変化を見てみましょう。
グラフの実線がグループAで、点線はグループBです。
どちらのグループもフードを変更するまでは体重が増えています。
(1歳までは成長期ですから急激に体重が増えて、それ以降は体重の増え方が緩やかになっています。)
そしてフードを変更した時点で、あたり前と言えばあたり前ですが、欲しがるだけフードを与えたグループAのほうが体重が約10キログラム多くなっています。
フードの変更後、どちらのグループもいったん体重が減りますが、その後、体重は安定しました。
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ペットフード会社に25年以上勤めた獣医師のペットフード講座
2頭のねこさんと暮らす、ペットフード会社に25年以上勤めた獣医師が、ねこさん、わんちゃんの健康と栄養学、ペットフードの本当の中身について、…
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