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Tomo
2020年9月30日 23:07
秋の月に照らされた彼女の横顔は何よりも美しかった。 椅子の上で膝を曲げて抱えたまま、窓の外をぼんやりと眺めている彼女のことをこのまま永遠に見ていたいと、そのとき僕は心の底から強く思った。 誰かに対してそんなことを感じるのは、後にも先にも、ただその時だけだった。そしてその想いは、僕が生きているという事実よりも確かで、僕の生命の重さよりもずっしりとした手応えを僕に感じさせるもので、疑いの余地の