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海外ペットテック スタートアップニュースまとめ#22(昆虫食のペットフード)

人向けのビジネスがペット向けに応用されるケースは枚挙にいとまがありません。MedTech、InsurTech、FinTechなどなど。今回はFoodTech、AgriTech領域のペットテックスタートアップの資金調達ニュースです。

2021年にタイで創業したアグリテックスタートアップでBlack Soldier Fly(アメリカミズアブ)由来の成分を生産するFlyLab。今回はシードおよびプレシリーズAの資金調達ラウンドを終了して$1Mの資金調達を実施。興味深いことに本ラウンドをリードしたのは日本の三洋貿易(ゴム・化学品商社)

Flylab は、昆虫産業で長年の実績を持つ経験豊かなチームによって設立されたアグリテックスタートアップ。Black Soldier Fly(BSF)の幼虫の能力を利用して、農業廃棄物を動物や植物のための食糧にリサイクル。魚粉や大豆ミールといった持続不可能なタンパク質原料の使用を止め、より持続可能で、より自然な、より栄養価の高いタンパク質であるBSFミールに置き換えること、持続可能な動物用飼料の未来をつくることがミッション。

実際に動物飼料(海洋生物、家禽、牛、ペットフード)業界では、大豆タンパク質や魚粉などの持続不可能なタンパク質源や、魚油を使用しており、生物多様性の損失や環境破壊の一因となっている。Flylabは、動物の健康にも役立つ、より持続可能なフードを開発することで、壊れた食物システムを再構築する。

Flylab

Flylabは、創業初期にALES Global Investment Partnership IIIとMSIVC2021V Venture Capital Investment Limited Partnershipが共同出資。その資金を基にタイ北部に最初のパイロットプラントを建設。Flylabの工場では、高品質の昆虫食、オイル、乾燥幼虫、有機肥料を持続可能な方法で生産している。

Flylabによると、BSF由来の食事は動物が栄養摂取する際の標準的なタンパク質の代替品として手頃な価格になりつつあるという。タンパク質のコストが上昇しているため、養殖業やペットフード業界から大きな需要があり、フル生産の契約が結ばれてはじめている。MarsやNestleのペットフード部門は、すでに昆虫タンパク質を含むドッグフードおよびキャットフードの販売を開始しており、非常に注目度の高いペットフード領域。

実際にBSFのプロテインは、犬や猫のような肉食動物が必要とする必須アミノ酸をすべて含む(カルシウム、鉄、ビタミンB群など)。そして、BSFプロテインに含まれる抗酸化物質はペットフードに配合することで健康増進に効果が生まれ、高齢化したペットの免疫システムを維持するのに役立つ。また、BSFミールには、消化吸収に優れた脂質と抗菌成分が含まれる。

今回の資金調達成功を踏まえてFlylabは今後、シリーズA資金調達ラウンドで$15Mの調達を計画。2023年にバンコクに大規模工場の建設を予定。この工場では、ペットフードを含め動物向けの食事に使用される昆虫由来の成分を毎年6,000トン以上生産する予定。

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