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口から食べることには重みがある。

今日もありがとうございます。

この頃は寒さも増して、鍋やおでんが美味しい季節になりましたね。
"食べる" ことの中に四季を感じられるのも素敵なことだと感じます。

今回は、図書館でふと目に止まった、こちらの書籍のご紹介です。料理研究家であり "いのちのスープ" でも知られる辰巳芳子先生の対談集です。

日本人にとっての「食」について、本当に学びの多い、心が動くお話ばかりで感動しました。「食」について少しでもご興味のある方には、ぜひおすすめしたい内容です。

感動した言葉がありすぎて、まとめることは難しいですが、特に印象深い言葉を残したいと思います。

◻︎単純に食べものをカロリー換算でとらえようとすると、大事なものを見落とすことになる。(福岡)

◻︎いまは「旬」というものがあいまいになっているでしょう。夏冬問わず同じ野菜や魚がいつでもある。だから、季節の移り行きを反映していた旬の歓びが失われてしまって、チンすればピザみたいな、一年中どこにでもあるようなものしか食べていないから、それで何が食べたいのかもわからなくなっている。(辰巳)

◻︎きちんと手間ひまかけて作った、そういう食べものには、「時間が折り畳まれている」と思うんです。(福岡)

◻︎(たとえスープ一口でも、口から差し上げることが)末期の患者さんにとっても明日の命につながる。医学的にはたったスープ一杯飲んだって癌が治るわけはないんですけど、患者さんは意欲が出てくるんです。「ああ、今日も生きていた。明日も頑張ろう」って。だから、口から食べるってことには、すごい重みがあるんです。(川嶋)

◻︎とにかくスープ一口でもいいんです。口からお腹に何かが入ることは免疫力と密接に関係しているのです。(川嶋)

◻︎私が思うに、患者さんが召し上がるのは栄養じゃないんですよね。ものを食べるということは、人間が人間らしくあるための根源的な営みですから。(辰巳)

◻︎朝は、まず梅干にお茶。そういう日本人の習慣にはそれなりの意味があったのに、昔はごく自然で当たり前だったことがどんどん忘れられているわね。(辰巳)

◻︎本当のお料理を修業した人、和食の料理人がリタイアして年金が付いた後に、病院で、病院食を生きがいとして腕をふるってくださると、日本の病人たちがどれほど幸せになるだろうと思うんです。(辰巳)

◻︎健康のためにこれを食べなければというのではなく、この季節には、これが美味しいから食べると思う感覚。それが日本人に備わっていた。(細谷)

◻︎これから子供を持つ若い働き盛りの世代が、「食べることは人間にとってどういうことなんだろう」と考える時間を、まずつくらなければいけない。(細谷)

◻︎"食べる"ということは、いのちの実感を最も端的に体験することです。もともと、いのちは分析するものではなく、実感するもの。(竹内)

◻︎生命をいのちたらしめるのは、食事です。人間は、何を食べるかによって、どういう人間となるかが決まってくるのではないか、と思います。(竹内)

出典)辰巳芳子:食といのち. 文藝春秋.

今日も来ていただきありがとうございます。
「食」を大切にすることは、心の豊かさの出発点かもしれません。
それでは、いってらっしゃい(^ ^)

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