ノラ子猫あずかり日記 2 (ワクチン接種へ)
一夜明けて物置の中を見ると、2匹の子猫が身体を寄せ合いこちらを見上げていた。
外気温は 6℃だった。
人形のように動かない2匹を見て、家族からおもわず声が出た。
「寒いよねーかわいそう〜」
たしかに寒いが、このまま居付いてしまうと困るので、何とか追い出す方法が無いかを考えた。
そんな時、動物保護団体が近くにいる事を知り、電話で相談することにした。
これまでの経緯と我が家の事情を説明した。
エサを与えていない、家に病気治療中のネコがいるので飼ってやれない事を話すと、昼休みの時間を使って確認しに来てくれる事になった。
団体の人が到着して裏庭に行くと、キャットフードをバラまいた。
2匹の子猫達はすぐさま駆け寄って来て、争いながらエサをガツガツ食べ始めた。
この様子を見ながら、団体の人が今後の流れを説明し始めた。
「この辺りは特に地域猫が多く、保護団体も気になっていたので、何とかお手伝いしたい。
この子猫達は、おそらく近くの倉庫で生まれて、親とはぐれてエサを求めてここに来たんだと思います。
団体は来月、県外に引っ越す準備中で、保護頭数が多すぎて引き取りは出来ないが、この2匹が地域猫として暮らせるようにしてやりたい。」
という話だった。
我が家にとってはノラ猫でも、地域猫という見方もあるんだと少し理解ができた。
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子猫達の様子を見ていた保護団体の人が、今後について話しはじめた。
「子猫達は、冬越しさえできれば、暖かくなってから野に放しても、地域猫として暮らしていけます。」
「こちらのお宅で一旦預かって、ワクチン接種と避妊手術をするので、今年の冬越しだけ預かってくれませんか。」
たしかにこの周辺は、冬の朝には氷点下になる事が多く、 −10℃ 以下になる時もあるので、ノラ子猫にとっては厳しい環境である事は容易に理解ができる。
しかし家の中に病気ネコがいるので、一緒に飼うことは出来ない。
「発泡スチロールで小屋を作ってやれば、屋外でも大丈夫ですよ。」
う〜ん、2匹の子猫達を、冬越しで預かる決断をしないと、子猫達の命をつなぐ手立てが見当たらないようだ。
仕方が無いので、冬越し期間だけ預かって、春以降は地域猫に戻すことを条件に、ノラ子猫あずかりを了解することにした。
そして団体の人は、無我夢中でエサを食べている2匹の子猫を、手際よく捕まえ連れて行ってくれた。
いよいよ《ノラ子猫あずかり》が始まる事になった。
___ つづく ___