自分の欲には正直でいいのだとサーティワンで教えられた
「サーティワンの割引券もらったからアイスでも食べに行く?」
恋人から思わぬ提案が飛んできた。
前々からnoteを読んでくださっている方はご存じかと思いますが、私はアイスが大好き。
もちろんサーティワンも大好きで、シーズンごとの限定フレーバーも欠かさずチェックしている。
前々から気になるフレーバーも出ていたので、恋人の提案に喜んで乗り、サーティワンデートをすることにした。
◇
店舗前に着き、メニュー表と睨めっこする。
一つは決まっていた。(この時点でダブル食べる気満々)
サーティワンのフレーバーの中で一番好きなものが、春先に期間限定で発売されるバーガンディチェリーなのだが、それに似たフレーバー『ダークチェリーフォレスト』というものが出ていて絶対にこれを食べようと決めていた。
ひとつは決まっているけどもう一つは何にしよう、、、
だったらシングルで頼めばいいだろ!と言う声も聞こえてきそうだが、どうせサーティワンを食べるならダブルを食べたいじゃない?
好きだからと言って同じフレーバーでダブルにするのも違う気もするし、なんだか気恥ずかしい。
「なんでも好きなの選んでいいんだよ。」
と恋人は言い続けていたけれど、どうしても決めきれなくて恋人に選んでもらった。
自分の中では候補にあがっていなかったフレーバーだが、色味もポップでサーティワンらしさが溢れていて魅力的だ。
さっそくこの二つを注文して作ってもらう。
高揚感を高まらせながらお会計をしている時に、四輪のカートを押した腰の曲がったおばあちゃんがお店にやってきた。
やっぱりいくつになっても、どんなに気温が下がってきても、みんなアイスが好きなんだなぁ。なんてぼんやり考えていたら、おばあちゃんがビックリすることを口にした。
「私ね、この大好きなキャラメルのやつが食べたいの。大きいのをふたつ、コーンにのせてくださいな。」
おばあちゃんが頼んだのはキャラメルリボン。
しかも、レギュラーサイズのダブルで。
私はびっくりして耳を疑ってしまった。
最初は誰かと一緒に食べるのかな?なんて思ったりもしたけれど、近くにそれらしい人はいない。
じゃあ、やっぱりおばあちゃんは、このアイスを一人で食べるの?
私はアイスを受け取って席に着いたけれど、どうしてもそのおばあちゃんが気になってしまい目で追い続けた。
やはりどうやら、アイスは一人で食べるらしい。
重そうな足取りでフードコートの席に着き、にこにこ顔でアイスを頬張りはじめた。
私はその様子を横目で見ながら、自分のアイスを口に運ぶ。
もちろん、アイスは美味しかった。
想像通りのチェリーのアイス、それに深みを持たせるチョコの香り。
恋人の選んだフレーバーもパチパチとしたサーティワンらしい楽しさと、甘いチョコと爽やかなミントが合わさって特徴的なものだった。
でも何故か、ほんの少し空虚な気持ちが湧き起こった。
横目でチラリとおばあちゃんを盗み見る。
相変わらず優しい笑みをそっと浮かべながら、ダブルのキャラメルリボンを口に運び続けている。
私は、二度と会う事が無いかもしれない店員の目や、見えない誰かの目を気にして、同じものを二つ頼む勇気がなかった。
見知らぬアラサーの女が同じフレーバーをダブルで頼んだとして、いったい誰がそんなことを気にすると言うのだ。
だいたい、そういう細かいことを気にするから生きにくいんじゃないのか。
好きなものをたくさん食べた方が満足度は高いだろうに。
ほら見なよ、おばあちゃん、あんなに幸せそうじゃん。
決してこのアイスを選んだことを間違いだとは言わない。
今食べてるものも美味しいし、新しい美味しさに出会うこともできた。
でも今度サーティワンに来る時は、必ず大好きなバーガンディチェリーをダブルことを心に誓った。
サーティワンでくらい、自分の欲に正直になろう。
そんなことを、キャラメルリボンのおばあちゃんに教わった。
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