ホテルの客室清掃員の嘆き〜繁忙期、辛くて仕方ないのでお客様のお力を貸してください〜

あっという間に2021年も終わり、年が明けてしまいました。昨年はなんだか生きた心地のしない1年だったなぁ。としみじみ振り返っております。

コロナも終息に向かい、世間はクリスマスからの年末年始と毎年のことながらお祭りムードですね。

しかし、サービス業の私にとってはこの時期は一年の中でも指折りにしんどい時期でもあります。

◇

客室清掃の現状

私の仕事はホテルの客室清掃員。
そんなに大きくもないビジネスホテルで働いております。

なんだかんだ文句も言いつつこの仕事が好きで気付けば3年近く経ってしまいました。

コロナ禍になり一時期は仕事が全くと言っていいほどになくなってどうなることかと思いましたが、ありがたい事にお客様が増え年末年始らしい賑わいが我がホテルにも戻ってまいりました。

お客様が増えることは本当にありがたいのです。
しかしながら、コロナ禍で出勤調整をして雀の涙程度の休業補償で繋ぎ止めてきたメイドさんたちがみんな辞めてしまい、全く人が足りていないのが現状です。


そんな状況で迎えたやばすぎる繁忙期。

テレビのワイドショーでは、飲食店の人不足が話題になり取り上げられていますがホテルも酷いものです。

◇

私はチェッカーと呼ばれるポジションを担当しています。
具体的には、メイドさんがお掃除した部屋を最終確認してお客様に売れる完璧な状態にお部屋を戻す役割です。

それ以外にもお客様が出た部屋のシーツやタオルの剥がしと回収、補充をしたりなど、メイドさんが動きやすいようにサポートをする仕事も兼任しています。
(これは主にランナーと呼ばれる役割)

これを一日に約40部屋ほど。数フロア掛け持ちで行うこともあります。

それをしながら、尚且つ自分で清掃にも入ってお部屋を作っています。

15:00という決められたチェックインの時間があるので、その時間にどうにかこうにか間に合わせてお掃除を終わらせなくてはいけないのですが、全く終わらずお客様にもホテルにも迷惑をかけているのが現状です、、、

仕事ばかり増えるのに給料は一向に増えず、
(むしろコロナ禍を理由に減給された)
負担ばかり増えて、ヘロヘロで帰宅する毎日です。

ホテルもホテルで赤字になった売り上げを取り戻そうと必死で、例年ではあり得ないほどの低価格で部屋の販売をしているため、普段あまりホテルを利用していなさそうなお客様もかなりの数ご宿泊されています。

お客様がいることで私たちの仕事が出来るのでありがたい気持ちは山々なのですが、本当に人が足りなくてパートなのに毎日10時間近く働いている状況に追い打ちをかけるかのようにビックリするほど荒れ果てた部屋の数々…。

『お金を払ってるんだから何してもいいだろ。』

そう言われてしまったらそれまでだし、何も言えないのですが、私たちはどんなに荒れ果てた部屋でも30分以内に隅々までピカピカに綺麗にしてお部屋を元の状態に戻さなければいけないのです。(部屋が広ければもっと時間はかかります。)

部屋が荒れ果てていればその分時間がかかります。

そういう部屋が多ければ多いほど時間は奪われ、皆が疲弊し、数少ない従業員が辞めてしまう。といった負のループが生まれてしまう訳です。

そんな中 日々頑張る全国の客室清掃員の負担を減らすために少し手を貸してはいただけないでしょうか？

1.使ったタオルはまとめてくれると嬉しいです

当たり前のことですが一度使用したタオルは全て全回収してリネン屋さんへ洗いに出します。

部屋に入ってすぐにシーツなどと共にタオルの回収をするのですが、このタオルが散在しているとそれなりに大変なのです。

ハンガーにかけたままになっていたり、ピンチハンガーに挟まれていると取るのにも結構時間がかかります。

たかが数秒だろ？と思うかもしれませんがこれが何十部屋もあればそれなりの時間を奪われてしまうのです。

また、使用済みのタオルを畳んで元の場所に戻すのもやめていただきたいです。

使ったものは"使いました！！！！"ってアピールしてくださると、こちらも確認の手間が省けます。

使用したタオルはお風呂場でも入り口近くでもどこでもいいので、一箇所にまとめてくださると大変助かります。

2.忘れ物をしない努力をしてください

この忘れ物、非常に厄介です。

明らかにゴミだろ、、、？と思うものでも人様にとっては大事なものかもしれませんので、(確か奥華子さんの曲にこんな感じの歌詞があったよね。) ゴミ箱の外にある私物は基本的に忘れ物として提出します。

実際、飲みかけのジュースやクリーニング屋さんのハンガーを取りに戻ってきた方もいらっしゃいます。

忘れ物があったら袋に入れて忘れ物カードを書いて保管するのですが、それがまぁ面倒くさい。

一個ならまだしも、複数あると本当に大変です。

しかもこの忘れ物、ベッドの上に置かれているとシーツなどを剥がした時に巻き込む可能性もあるので非常に危険なのですよ。

『ベッドの上に忘れ物をした気がするので剥がしたシーツも確認してください。』

と言われ、回収したリネンを回収袋から出して一枚一枚お客様の前で確認したことも遠い昔にありました。。。
(結局お客様の勘違いだった。)

しかもそんな無理を言ってくるのって、決まって部屋の使い方が荒い人なんですよね。

まあ、人間なので忘れ物をするのは仕方ないです。
私もADHDなのでよく忘れ物をするし、物もしょっちゅう無くしてます。

でも人を責めるのは違うと思いますので、そうならないためにも忘れ物をしない努力をしていただけると大変助かります。

3.チェックアウトの時間を守ってください

基本的にホテルは11:00チェックアウトのところが非常に多いかと思われます。(もちろん例外もあるよ！)

しかしこの決められた時間に出て行かないお客様、非常に多いです。当たり前のように15分 20分出て行かない方もいらっしゃいます。

チェックアウトの時間を計算しながら剥がしや鍵開けのタイミング、様々なことを順序立ててこちらは動いています。

また、お客様が時間になっても出発されない場合、私たち客室清掃員がお部屋まで訪問して確認作業を取らなくてはいけない手間も増えます。

どうか、お時間には余裕を持って出発していただけると大変有難いです。

同時にチェックアウトの手続きを必ずフロントで行ってから出発することを忘れないでください。

4.ゴミはゴミ箱へ捨ててください

最後はこれ。きっと全国の客室清掃員みんなが思っていることかもしれません。

当たり前のことなのですがゴミはゴミ箱へ捨ててください。

ゴミ箱にはひとつもゴミが入っていないのに、部屋中にゴミが置かれているお客様、非常に多いです。

また、使用済みのアメニティをご丁寧に袋に戻してからアメニティケースに戻す方も多いのですが、あれも大変迷惑しています。

エコの観点からも未使用のアメニティは基本的に使い回しています。チェックの時にもちろん確認はするのですが、そのゴミに気付かずクレームに繋がるリスクを減らすためにも、使ったものはゴミ箱へ捨てていただけたら幸いです。

服についてるサイズ表記のシールや使用済みのコンタクトなどもその辺に張り付けられると取るのがとても大変なので、こちらも併せてゴミ箱へお願いいたします。

またもう一つゴミで困っているのが分別問題です。

飲み終わった缶やペットボトル、こちらをゴミ箱の中に捨てている方がほとんどかと思われますが、ホテルも家庭と同じように分別してゴミを処分しています。

部屋の景観やスペースの観点からお部屋内にゴミ箱が一つしか置かれていないホテルが大多数かと思うのですが、同じゴミ箱に捨てられてしまうとゴミ袋の中に手を突っ込んで分別しなければいけません。

ご丁寧にゴミ袋の口を固く縛ってくださる方も居るのですが、そういったお部屋はゴミ袋を引き裂いて分別しています。

ゴミの中には様々ものが入っています。中には危険な物もあります。

客室清掃員が危ない目に遭わないためにも、どうか飲み終わった缶やペットボトルのゴミは分別をしていただきたいのです。

ゴミだと分かる様にゴミ箱の横にそっと固めて置いておいていただけるだけで結構です。それだけで多くの客室清掃員が救われます。

どうぞ、よろしくお願い致します。

◇

最後に

色々とお話ししてきましたが、これはほんの一部。

この仕事を長年やっていると考えもつかないようなビックリするお部屋に度々遭遇します。

その度に驚愕して愚痴をこぼしながらも、なんとかチェックインの時間に間に合わせようと、みんな必死に働いています。

客室清掃業界は3K (キツい、汚い、危険)と呼ばれている世界です。

おまけに万年人手不足だし、労働基準法なんてガン無視。

それでもこの仕事が好きで誇りを持って働いている方がほとんどです。私もその中の一人だったりします。

世の中に必要な仕事な筈なのに軽視されがちなこの仕事。
実際に心無い言葉をかけられたこともありますが、それでもお客様が気持ちよく過ごせるよう尽力しています。

結局、どんなに疲弊してもお客様から
『ありがとう。』『お部屋綺麗だったよ。』
と言っていただけると嬉しくて頑張れちゃうんですよね。

◇

この世が感謝の気持ちでいっぱいになればきっと色んなことが上手くいく。

そんな生ぬるいもんじゃないことなんて重々承知の上ですが、この業界ではそれが適応されると思うのです。

どうか、客室清掃員とお客様 双方が気持ちよく新年をスタートさせるためにも私共にお力をお貸しいただけないでしょうか？

どうぞ、よろしくお願い致します。

これを読んで『まあ、協力してやってもいいか。』と思ってくださったあなた様の旅が素敵なものになりますように。

Bon voyage！！！！

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