#125 エクストリーム散歩

ここ数週間、休みといえば近所の喫茶店やファミレスで書き物作業をするか、友達や家族との用事などが立て続けにあった。
それもあって、実は昨日からどこかに出かけてリフレッシュしたい欲求が高まっていた。

Google mapを見ながら、自分の家から徒歩で行って日帰りできるいい場所はないか探してみると、1時間ほど行った先に大きな公園があることに気付いた。しかも近所に良さげなパン屋もある。散歩ついでにパンを買って帰ってこようと思い立ち、早めに今週の作り置きを仕込んで、昼食をとったら意気揚々と出かけた。

30分ほど歩いて住宅街のど真ん中に、突然お洒落でこぢんまりとした一角を見つけて、そこでパンを買った。今週のランチに食べるつもりの山形食パンと、後で公園で食べようと思い一口あんバターパンを買った。

公園は10分ほど歩いた先にあり、水の流れるほとりを歩いていたら、なんと猫の行進に出会した。6〜7匹の野良猫と思われる猫たちは、どうもその地域で面倒をみているらしいボランティアのおじさんについて行っている。
まだ痩せたままのコもいたが、大半がふくふくしていて毛艶もいい猫ばかりだった。

私は家で猫を飼っているので触ることはしなかった分、しっかり眺め愛でておく。

さらにそこから森の中をずっと歩いていき、中央広場と書かれた場所を目指す。もはや公園内の散策というより軽い登山の様相で、木々の合間からは普段聞かない美しい鳥の鳴き声が聞こえてくる。

ふと見ると、古びた休憩所が見えた。

こうして白黒にすると、まるで古いSF映画のような佇まいが気に入って近づく。ベンチが意外と綺麗だったので、そこに腰掛けて先程買ったあんバターパンを食べた。
なんだかんだ、ここまでで既に1時間ほど歩き通していたので確かな疲れを感じている。甘いパンと出かける前に買った麦茶が沁みる。

エネルギーを得て復活した足取りで、中央広場に辿り着くと今度は犬の行進に出会した。大量の犬たちが飼い主と共に歩いていき、モニュメントの前で記念撮影をしている。
「こんなにたくさん見せてくれてありがとうございます」と心の中で感謝する。

広場には小さな博物館のようなものがあり、入館料も無料だったのでトイレ休憩がてら中に入ってみる。化石や剥製など、地域にまつわるものがたくさん展示されている中で、子供たちが縦横無尽に暴れ回っている。
日曜の夕方になっても、まだそこまではしゃげるエネルギーに惚れ惚れする。

博物館を出るとそろそろ日も暮れそうなので、帰路に着くことにした。来た道を戻りつつ、他の道に逸れて家を目指す。

ここまで2時間ほどが経過。
久しぶりにこんなに歩いたので、足の裏がじんわりと痛く、腿にも筋肉痛の予感が広がっている。先程のSF基地以外、そこまで熱心に休憩もしていないから当然ではある。

民間や畑の合間を縫って大通りに出ると、シャトレーゼの看板が輝いている。こんな魅力的な看板を見ておいて、スルーできるわけがない。
吸い寄せられるように店内へ入ると、気がつけばカボチャ餡の田舎パイとみたらし団子を買っていた。

片手に一斤の食パンとシャトレーゼのお菓子をぶら下げて、坂道を登り、下り、家を目指して行くと、見覚えのある通りに出てきた。
ここから先、Google mapを気にしなくていい開放感で足の痛みも忘れて歩き続け、途中スーパーで夕飯のものをいくつか買ってから、やっと家に着いた。

買ったものの整理や荷物の片付けを終えて、ソファに腰掛けると心地よい疲労感を全身に感じる。そうだ、これだよ。エクストリーム散歩の楽しさ、気持ちよさ。

様々なタスクに追われて忘れていた感覚を取り戻して満足感が強い。リフレッシュを得られたいい休日を過ごせた。

今度は歩いてもっと遠くに行ってみようかな。

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