#47 心の家出
心が肉体を離れたがっている時期がある。
生来の肉体が持つ性質上、私の身体は特定のアップダウンのあるバイオリズムと切っても切れない縁を持っている。
今、まさにその時期。
心は常に何かを求めて、数々の魅力的なタスクや冒険に羨望の眼差しを向けているが、反して身体は今ある場所から一歩たりとも動こうとしない。まるで枷のようだ。
長期連休明けに結構多数のタスクを抱えて、忙しく過ごしたことによる疲れもあるだろうが、周期的なものもありそうだ。
こういうときは、大抵ロクなことを考えないので、あえて心に家出させることにしている。
端的に言えば、すごくよく寝る。
今し方まで長い昼寝をしており、束の間の家出を心に与えていた。
眠っている間、心は好きなようにする。
記憶を辿って、行きたかったプラハの街を歩き、美味しいコーヒーを飲み、静かで怪しげな森の中を歩く。
あるいは、やらなければならないタスクに思いを馳せて「次はこうしよう」「ああしよう」と思案を巡らせている。
起きた頃には、本来進めたかったことが何一つ進んでいなかったとしても、すべて上手くいっている。心は必要なことを既に得ている。
たまにはこういう休日があってもいいだろう。
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