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【医学部勉強シリーズ】発生遺伝学と先天異常【遺伝学:第14章】

みなさんこんにちは!本日から遺伝学について複数の記事にまとめていきます!今回は発生遺伝学と先天異常についてまとめました。医学部の講義の雰囲気を感じていただければ幸いです!

本文中に画像を挿入していないため、一部理解しにくい部分があるかもしれません。ご了承ください。

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異常形態学、先天性異常、人の胚発生(教科書を中心として)

医学における発生生物学

先天奇形は3つのカテゴリーに分類できる。奇形は発生に関わる遺伝的プログラムの1つ以上に内的な異常があることで生じるものである。変形は奇形とは異なり、発生過程の胎児に物理的に作用する外的要因による異常が原因である。また発生中に外的要因で正常組織が不可逆的に失われると破壊と呼ばれる先天奇形となる。

  • 奇形:遺伝的プログラムの異常

  • 変形:胎児に物理的に作用する外的要因による異常

  • 破壊:外的要因による不可逆的な組織の破壊

遺伝子変異などの単一な原因によって、子宮内発生の異なる時期に形成される複数の構造に異常が生じる場合や、胚の異なる部位の複数の器官系に異常が引き起こされる場合、このような現象を多面発現と呼ぶ。またある原因が同時に並行して複数の異常を引き起こす場合、その複数の異常をまとめて症候群と呼ぶ。しかしある原因が、ある時期のある1つの関係のみに障害を与え、その異常が二次的に様々な危険を引き起こす場合、シークエンスと呼ぶ。

発生生物学用語、モデル動物の発生

発生運命、特定化、運命決定(レジュメにない内容)

発生過程において、未分化な細胞は一連の個別の分化段階で様々な機能や特性を示すようになり、発生運命と呼ばれる最終分化に至る。分化段階の初期では、細胞は特定の性質を獲得して特定化されるが、この段階では細胞外のシグナルなどによって発生運命が変化する可能性がある。このシグナルとしては、細胞膜に局在する物質や可溶性物質によるシグナルを細胞表面で受け取ることによってもたらされる。このような可溶性物質のうち、その濃度勾配によって位置情報がもたらされるものをモルフォゲンと呼ぶ。最終的な細胞は、不可逆的な特性を獲得する。これを運命決定と呼ぶ。

HOX遺伝子の機能と構成(ショウジョウバエの体節から発見された)

初期発生では、以下の3つの軸を確立して、体の多数の部分や期間の相対的位置を決定する。

1つ目は頭部から尾部にかけての軸で、前後軸と呼ばれる。HOX遺伝子群は、ホメオボックスと呼ばれるDNA結合モチーフを持つ転写因子であるが、前後軸に沿って発生する構造の決定に大きな役割を担っている。

2つ目は背腹軸である。 ソニックヘッジホッグ(Shh)は発生中の神経管底板と脊索により分泌され、脊髄に沿った背腹軸の形成に関与している。

3つ目は左右軸である、正常な心臓の発生と内臓の正常な位置決定に関与する。人の発生を調節する基本的な細胞機構と分子機構は、正常メカニズムの障害により生じる先天異常や疾患により解明されつつある。ソニックヘッジホッグ遺伝子の機能喪失型変異で、先天的な形態上である前全脳胞症を呈することで示された。

左右軸に関与するZIC遺伝子の変異は、心奇形と内臓逆位を引き起こす。

多指症・合指症の原因遺伝子のHOXD13およびHOXDファミリー遺伝子群の発生過程の肢芽における発現部位の模式図について考える。HOXD 13の機能欠損変異によってこの疾患が発症する場合の、その分子レベルでの発症気候について整理する。

HOXD13の機能欠損によって、HOXD9からD13のすべての発現が重なる部位が消失してしまう。つまり、図における1番濃い青色の領域が消失することによって、肢芽の前後軸(第1指から第5指にかけて)の3層の発現の重なりが2層になってしまう。このことによって肢芽の前後軸の極性が乱れ、それぞれの指の同一性が失われるため、パタン形成が異常になったと考えられる。

HOXD13遺伝子変異

パターン1:第3中手骨が分岐し、第3指に過剰指が生じている。またこの過剰指と第4指が癒着し合指症となっている。 つまり多指症・合指症と言える。

パターン2:第3、4、5指の合指症と単一関節が見られる。つまり合指症と言える。

パターン3: 第2中足骨は縮小している。第3、4、5中足骨は融合している。 つまり合指症と言える。

モデル動物からヒト疾患へ(hedgehog遺伝子の発現とその発展を例として)

実験動物で得られた結果をヒト疾患へと応用すると言う基本的な考え方を押さえておくことが重要である。

様々な生物種におけるhedgehog遺伝子の変異体

ソニックヘッジホッグ(Shh)は脊椎動物におけるモルフォゲンとしてよく知られている。発生過程で脊索から放出されるShh蛋白は、腹側神経管の底板を誘導する。ヒトで変異によってShh蛋白が部分的に不活性化した場合、前全脳胞性が生じる。前脳と顔面中央部の発生が障害されるため、口唇口蓋裂や眼間狭小、前脳構造の欠損が引き起こされる。

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