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15歳、娘の旅立ち

15歳の娘が、とうとう旅立ってしまった。
バレエ留学のために。

経由地のスイス、チューリッヒ空港からLINEがあった。
心配していた飛行機の乗り継ぎも、無事にできたようだ。

だがしかし――。

「英語が全然通じない!何を言ってるのかもわからない!」

いくらドイツ語圏といっても、まだ乗り継ぎ地の空港である。
英語は通じるはずと思っていたが、

「『ウォーター』ですら伝わらなかった」

これには本人もかなり打ちのめされた様子だった。

娘は4歳のとき、アルファベットを書きたいと言い出して英会話を習い始めた。
楽しそうに週2回通っていた。
それが、小学4年生で毎日バレエに通うためにやめてしまい、英語力はそれほど身につかなかった。
それでも中学2年生で英検準2級を取得し、来月には2級を受験予定だった。
中学もネイティブの先生によるレッスンが毎日ある、英語に力を入れている学校に通い、なんとか上位クラスに食らいついていた。
中2で英検準2級を取得し、来月には2級を受験予定だった。
正直、堪能とは言えないが、簡単な会話くらいは通じるのではと思っていた。
だが、その期待は見事に裏切られた。
親の私も、いささかショックである。

スイスでの入国審査について娘に聞いてみた。すると、

「何を言ってるのか全然わからなくて、とりあえず持っている書類を全部出してみたら、『おぉけぇぇぇいっ! 』て 、満面の笑顔でいわれた」

乗り継ぎを間違えずに無事にできるかということを、とにかく心配していた私は、ひとまず安心して笑った。

いざドイツ入国するときには、なんと税関で別室に連行されたらしい。

「スーツケース全部開けろって言われたけど、何言ってるかわからないから、ただ突っ立ってたらね……」
荷物の中に入れていたバレエのトレーニング器具でた税関職員が、それを手に取って遊び始めた。
それで気が済んだのか、特に問題なく解放されたらしい。

もう、この時点で娘のライフはゼロよ!!!

15歳、独りで渡独。
(頭痛が痛いみたいな字面だな)
なかなかの経験をしていると思う。
でも、もう親は見守って無事を祈ることしかできない。
がんばれ。

そもそも、バレエに疎い親のもとで、うっかりバレエを習い始めて、
まんまと沼にハマり、気づけば「留学したい」と言い出した。

中学を卒業したらとっとと留学してしまった娘。
あれよあれよと飛び立ってしまって、母の気持ちが追いてけぼり。

いったい、どうしてこうなったのか。
これまでの軌跡を、今さらながら振り返ってみようと思う。







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