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ヘルペスウイルスがうつ病の原因か?

こんにちは。
興味深い研究がありましたので今年得た知識は今年のうちに書き残そうと思います。


うつ病には「うつ病になりやすい」人とそうでない人がいます。この「うつ病になりやすい体質」は、遺伝率30~50%で遺伝することが判っていました。しかし、大規模な遺伝子研究が行われたにも関わらず、ヒトの遺伝子の中にはうつ病の原因となる遺伝子が発見されませんでした。

慈恵医大・ウイルス学講座の近藤教授らは、全人口の約95%に潜伏感染しているヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)に遺伝子SITH-1(シスワン)と命名したたんぱく質を発見し、これがストレスレジリエンス(ストレスを跳ね返す力)を低下させて、うつ病を発症させることを見いだしました。SITH-1を持っている人がうつ病を発症する確率は持っていない人の12.2倍、患者5人中4人はSITH-1を持っているといいます。

うつ病の発症にヒトヘルペスウイルス6が関与するしくみについて、近藤教授は「唾液からヒトヘルペスウイルス6が鼻の奥にある嗅球(臭いを感じる器官)に移行・潜伏感染し、そこでSITH-1を発現させる。それが嗅球のアポトーシス(細胞死)を引き起こす」と説明しています。このアポトーシスが脳内のストレス物質を増やし炎症を促すというのだそうです。

一般的にヘルペスウイルスは疲労、睡眠不足、発熱などで活性化しますが、強い紫外線、排卵後から月経前、薬剤の服用など免疫力が低下した時にも再発しやすくなるので注意しましょう。規則正しい生活が必須です。

論文は2020年6月、アメリカの権威ある科学誌『iScience(アイサイエンス)』(Cell Press)に掲載され日本のマスコミも大々的に報じましたが、なぜかあまり広まっていません。


人類最強の敵。それはヘルペスウイルスかもしれませんね。

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